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7.52019
「悪くなるには、原因が必ずあるのです」 少年刑務所と『福音ソフトボール』
「加害者である前に被害者であった」少年刑務所の子どもたち。本当にそう。『福音ソフトボール』に出てくる山梨ダルクの人々も薬物使用者という犯罪者である前に、過酷な幼少期を過ごした人々だった。そして人は、変われる。みんな必要だよ:北海道新聞 どうしん電子版 https://t.co/xSRR7eApsY
— ミツイパブリッシング (@mitsui_publish) 2019年6月30日
『空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集―』(寮美千子編、新潮文庫)を読んだのは、薬物依存症者の回復施設・山梨ダルクの人々を描いたノンフィクション『福音ソフトボール』(三井ヤスシ著)を編集、出版した後でした。
詩の作者である少年たちと、ダルクで回復の道を歩もうとする方々(=元少年)が、どうしても重なって仕方がありませんでした。
「自業自得」
佐々木さんが協力を願い出た先で、たびたび言われた言葉。メディアなどでも、薬物依存症者とくれば、「自業自得」と「自己責任論」が巻き起こる。法を破り、世間様を騒がせたかもしれない。だが、違法薬物に手を出した彼らが悪い、と断罪するのは容易であるが、日々報道されるニュースでは、なぜその人が罪を犯すまでに至ったのか、その経緯までは報道されない。
山梨ダルクに辿り着いた彼らの背景を聞くと、心が痛むことが多い。
両親との死別。
幼い頃からの虐待。
過保護や過干渉。
育児放棄やいびつな愛情。
彼らの生い立ちを聞けば、幼い頃から「心の飢え」を抱えて生きてきたことがわかる。薬物に手を出し、つまずいた彼らを、単に「弱さ」で片づけてよいのだろうか?
「悪くなるには、原因が必ずあるのです」
佐々木さんは力を込めて言う。(『福音ソフトボール 山梨ダルクの回復記』より)
ツイートでふれた北海道新聞の巻頭コラムは、改正児童虐待防止法の成立をうけて選ばれたテーマだったようです。法改正だけではもちろん不十分で、この共感の気持ちを忘れずに、より多くの人が持ち続けることが、大切ですよね。(編集N)
『福音ソフトボール』については映画監督・作家の森達也さんの書評も!