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ソフィア・ヤンベリのスウェーデン便り 第2回『夏の終わり、新しい年度の始まり』

『ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+』著者、ソフィア・ヤンベリさんの寄稿第2回を転載します。(第1回目はこちら

ソフィア・ヤンベリのスウェーデン便り
第2回『夏の終わり、新しい年度の始まり』

皆さん、こんにちは! ソフィア・ヤンベリです。前回の「お便り」は、夏の始まりの6月に書きました。今回は9月の始まりに書いてます。夏はあっという間に過ぎ去ってしまいましたね。スウェーデンの今年の夏はとても暑くて、長かったです。夏の日差しと陽気が大好きなスウェーデン人は、気温が20度以下になると落ち込んでしまうのですが、今年は暑かったので、逆にみんな安心したようです。こういうところは日本人とはちょっと違うかもしれませんね。
今このお便りを書いているのは9月上旬ですが、もうじき…11日に実はとても重要なことがあります。それは、スウェーデンの総選挙です。
この記事を事いている時点では、総選の結果がまだ分からないのですが、この皆さんへのお便りがビョルクの記事になって、皆さんに読まれている頃には結果は出ているのでしょうね。スウェーデンの政治が、これからどう変わっていくかを見るのが楽しみです。そして、もちろん緊張もしています。何か月前から、どこへ行っても政治の話でもちきりです。家族が集まる時でも、友達に会う時でも、会社のフィーカの時ですらも…正直に言うと、もう政治の話に少し飽きてきてしまいましたが、スウェーデンではいつもこんな風にオープンに、誰とでも政治の話をすることができます。それはとても良いことだと思っています。

前回の総選挙の時よりも、今回の方が政治家の方々も、国民も、みなさん緊張しているように感じます。現在、世界中の国々に影響を及ぼしている様々な問題があることを、皆さんももちろんご存知だと思います。2月から続いているウクライナでの戦争、インフレーション、電気料金の高騰(ちなみに私の去年の1か月の電気のインボイス〔請求金額〕は、10クローナぐらいでした。それが一番最近のインボイスは、なんと325クローナにもなっていました)。そして気候変動の問題も忘れてはいけませんね。多くの人が不安を感じるのが、環境問題だと思います。スウェーデンと世界、どちらも安定していることを望む国民にとって、今年の総選挙はやっぱり重要性を感じるのでしょう。
しかし、世界各地が不安定な状態であったとしても、日生常活が続いていきます。日本では、入学式などは4月に行われるのですが、スウェーデンでは、秋が新しい学期(日本で言うと年度でしょうか)の始まりです。入学式を迎えるなど、4週間ほどの夏休みが終わり、スウェーデン人は9月に新しい日常が始まるか、もとの日常に戻るのです。8月になると悲しい気分になってしまう人もいます。でも、楽しいこともたくさんあります! パーティーなどもたくさんあります。例えば、皆さんもご存じのスールストロミングバーティーや、ザリガニパーティーなどです。
スールストロミング(Surströmming)は発酵した魚(ニシン)で、世界の一番臭い食べ物だそうです。現在のスウェーデン人、特に都会の人はもうほとんど食べる習慣がありませんが、年に一回だけ伝統として食べることがよくあります。魚は、ジャガイモとパンで食べます。スウェーデン交流センターでも、確かスールストロミングのイベントがありましたね!


スールストロミングのパーティーのほかには、ザリガニパーティーも盛大におこなわれます! ザリガニは、とても人気な食べ物なので、みんなが毎年楽しみにしています。日常生活で食べるものではないので、この場合はやっぱり、年に一回のパーティーです! ザリガニパーティーは大体8月に、スールストロミングパーティーは大体8月から9月に行われますので、パーティーたくさんの時期です。ザリガニ、チーズパイ、サラダなどをよく一緒に食べる光景を目にしますね。
そして、みなさんお酒もたくさん飲みます! スウェーデンの伝統のお酒、スナップスSnaps(アルコール度数40%!)が伝統的ですね。しかし、このスナップスを飲む前に、みんなで先に歌を歌うのがお決まりです! スウェーデン交流センターのサリガニパーティーやスールストロミングパーティーに参加したこのあとる方は、「ヘーラン・ゴール(Helan går)」などの歌を開いた、または歌ったことがあるかも知れませんね。
この時期には楽しいことがたくさんあるおかげで、秋の始まりもとても楽しくなります。

個人的には夏の暑さより、秋の涼しい風と、綺麗な紅葉の方が好きです。紅葉はまだですが、これから自然がより綺麗で鮮やかな時期になっていきますね。今年はスウェーデンの紅葉も、2019年から見られなかった日本の紅葉も見られそうで、今年の秋はとても楽しみにしています。

(『ビョルク-白樺-』第156号、スウェーデン交流センター、2022年10月10日より転載)

ソフィア・ヤンベリ(Sofia Jernberg)
1993年ストックホルム生まれ。ストックホルム大学日本研究学科在学中の2013年に初来日。南山大学に留学後、帰国してストックホルム大学を卒業。 2016〜17年上智大学に留学。2018〜19年スウェーデン交流センター(北海道当別町)に勤務。現在、スウェーデンの特許法律事務所に勤務。『ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+』著者。


▼ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+

ぼくが小さなプライド・パレードの表紙イラスト

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