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5.82025
わかなの伝言「『心の除染』読書感想ノート 後編」
(前編はこちら)
黒川祥子『心の除染 原発推進派の実験都市・福島県伊達市』(集英社文庫、2020)
読了
ようやく、今日この本を読み終えました。
黒川祥子さん、本当にありがとうございました。
この事実を書き残すのに本当に苦しかっただろうと思います。自分の故郷で起こった大事件。1ページ1ページが本当に重かった。。。
これほどまでに、コケにされて、馬鹿にされて、いいように利用されて…。当時私は15歳だったわけですが、本当に改めて、今1人の大人として、1人の人間として、ゆるせない気持ちでいっぱいです。
私はこの怒りをこれから自分の生き方にまた還元していくことになるわけですが、本当に、年々、この溝というか、原発事故が解決しない年数だけ、私の中にあるこの大きな穴の深さが増していくように感じています。
今年は、蟻塚先生の『生きて、生きて、生きろ』、そして、黒川祥子さんの『心の除染』と、私の中で「こんなにコケにされて、馬鹿にされて」と悔しくなる作品に触れる年のようです。私の中で怒りに満ちた感情。私の本にも書いたような、全員を目の前に座らせて、一人一人ズタズタに殺していく気持ち。ゆるせない、という気持ち。。。
この気持ちを当時は自分でどうすることもできませんでした。でも、今の私は、昔の私と比べたら、ほんの少しは自分の気持ちに寄り添えるようになったと思います。私はこの感情を忘れてはいけないと思うし、この感情を糧にして生きていこうと思います。
年々穴の深さと暗さが増していくのを感じています。
本を出版し、講演会活動を休止して、「自分自身を生きる」時間を過ごしていますが、この数年だけで私の中の記憶とトラウマの質が変わってきているように思います。
望郷。
受け入れ難いけども、
この穴を見て見ぬ振りもできない。
私は私のことで常々精一杯で不甲斐ないですが、
それでも、向き合うことをやめずに、そして、幸せでいることもゆるしながら過ごしていこうと思います。
黒川祥子さん、ありがとうございました。
(2024.10.2記、2025.4.XX転載)
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