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「甲状腺通信」のこと〜わかなのFacebookより

甲状腺通信

先月(2022年1月)の投稿ですが、最近また読まれているわかなさんの投稿をご紹介します。

定期的にこういった内容の資料が福島県立医科大学から送られてきます。その度に、私は当時のことを思い出し、カラフルなチラシや資料を読んで、胸が苦しくなります。影響ないけど、心配している人の声に答えるために検査をしています、という文面に苛立ちを覚えながら。
ただちに影響はございません
の言葉が頭を何度も何度もよぎります。
先日6人の甲状腺患者の若者たちが裁判を起こしました。皆私と同年代です。
私はここ数年は福島県立医科大学の検査はうけず、個人的に別な病院で検査を受けていますが、その度にとてつもなく、胸が苦しくなるのです。精神的負担をおぼえるなら、無理して検査しなくても、とおっしゃる方もいるかもしれませんが。
検査する度、今回は大丈夫だろうか。
またのう胞が大きくなっていないだろうか。
結節は消えただろうか。
また新しいものができていないか。
と不安になるのです。
一般的な健康診断を受ける時も、
「万が一」をいつも覚悟しています。
福島で、クラスメイトから、廊下でこっそりと、「私たち子ども産めるのかね」と言われて愕然としたあのときのこと……。

引っ越ししたあと、「〇〇さん心臓病でなくなったって言ってたけど、本当は自殺したんだ。原発事故でかなりの心労だったみたい。」と聞いたとき……。
そして、私自身も、精神的にも肉体的にも、とてつもなく大変な時期があったこと……。
思い返せば、
放射能の影響、と、たとえ断定できなかったとしても、「原発事故があったから」こんなことになった、のには変わりなかったなと思います。
ずっとずっと、
私が原発事故を経験したことは変わらない事実として残り続けます。被ばくしたことも。
何十マイクロシーベルトもあったのに、
あの中で外で遊んだ友人もいたし、
合格発表を見に行った人もいる。
その責任は誰も取らずに10年も経ちました。
辛くて私も耳を塞いで閉じこもりたくなる。
でも、、、
たとえ、外の声を全て塞いでも、意味は無い……。
私自身がその事を覚えているからです。
忘れられたら、
気が付かず、
知らないフリをできたら、
なんて楽だろう。
そんなふうに思う日もあります。
でも、
現実はいつも私の中にある。
私は私とずっと一緒。
私は私と喧嘩することもあります。
(葛藤することもある)
でも、それでも、
ここまで生き延びてきた「戦友」でもある。
大切な、大切な、戦友。
ちょっと、疲れたね。
休みたい。でも、難しいね。
私は私から離れられないから。
逃げられないけど、昔と違って「幸せ」を選ぶことも、「休むこと」も選べるようになった。
ほんの少しずつだけど。
10代のあの頃よりも、
ずっとずっと、楽になったよね。
ちゃんと貴重な資料だから取っておかないとだよ。とある人に言われたので、ぐちゃぐちゃポイ、とせずに保管しておきます。(やり切れなくて、ぐちゃぐちゃポイってしちゃうことがよくあって。。。ささやかな現実逃避。)

元記事はこちら
https://www.facebook.com/wakana.official/posts/309319471224933

3月9日にトークイベントを開催。詳細はこちら。
https://bookandbeer.com/event/220309/

わかな十五歳 中学生の瞳に映った3・11

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