最新記事

【発売まであと7日】『自分がきらいなあなたへ』まえがきをご紹介

今日は『自分がきらいなあなたへ』のまえがきをご紹介させていただきます。

自分がきらいなあなたへ表紙

はじめに

 わたしは、名前を二つもっています。生まれたときに、親がつけてくれた「純子」という名前。そして、三〇代のわたしが自分につけた「遊歩」。

 この本の前半は、純子と遊歩がいっしょになって、書きました。

 純子の二〇代までは、とてもつらい日々でした。最初にその話がいっぱい出てきます。そして遊歩になってからは、自分のことを好きになろうと努力しました。

 それが実現し、娘を産みました。娘の名前は、宇宙(うみ)と言います。

 純子と遊歩と宇宙のからだには、骨形成不全症(こつけいせいふぜんしょう)という名前がありました。

 病院で純子は「骨形成不全症の子」と呼ばれました。

 純子は赤ちゃんのときから、その呼ばれ方がいやでした。字をよく見てみて。「不全」とあるよね。不全の反対語は完全です。つまり、わたしは生まれたときから、完全じゃない、と言われたのです。

 不全ってなに? 完全な骨ってなに? 不全なからだでは生きてはいけないってこと? 生後四〇日目から病院の中でレッテルをはられて、さらに注射を打たれて。純子はずっと苦しみました。いつも、自分のからだではいけない、と言われているようでした。

 でもずっと、「なにか変」と思っていました。

 二〇代で、さまざまな仲間に出会って、たくさんのことに気づきました。両手両足が動かなくても、目が見えなくても、耳が聞こえなくても、どんな人も、いのちをもって生きている。それだけで、とってもすばらしいこと。

「生きているって、いのちあるっていいよね」と、おたがいに言いあって、尊重しあえたら。どんなにすてきな人生になるんだろう。そう思って、遊歩は行動してきました。もう骨形成不全症という呼び名を使うのは、やめようと決めました。

「どうして、そんなに自分のことが好きになれたの?」とよく聞かれます。

 その秘密は、つらい気持ち、苦しい気持ちをがまんしなくていい、とまず自分で決めること。それから、聞いてくれる友だちや、仲間をつくること。

 そしてたくさん泣いて、ときには笑って。

 どうかあなたが自分を好きになれますように。


自分がきらいなあなたへ

関連記事

ページ上部へ戻る