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第36回 彼にはポジティブで正直な思いを

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

遠恋中で、彼とはたまにしか会えません。お互いの事情で当面一緒に暮らすのは無理だとわかっているのに、「負担になりたくないから別れましょうか」と言ってしまいました。彼はいい人で、そんなことないよと言ってくれましたが、同じようなやりとりを繰り返しているうちに彼も不安をもってきたようです。関係を続けていくために、どうつきあっていけばよいでしょうか。(アップルスコーン・30代・会社員)

彼にはポジティブで正直な思いを

彼が誠実な人でよかったですね。内容から、大人の恋愛をつくろうと努力されているようにお見受けしました。

ただあなたの不安は、彼に対してではなく、多くの場合、小さいときの家族関係の影響かと思います。

大好きなお父さんやお母さんが仕事に出かけてしまうとき、自分が学校に行かなければならないとき、学校で仲のよい友だちと離れなければならないときなど、たくさんの出会いと別れを繰り返しながら、私たちは、いっぱい泣いたり、悲しんだりしてきたものです。ただ、核家族化が進み、孤立や孤独があたりまえになる社会の中で、一つ一つの別れに際して悲しんではならないとか、悲しみを感じないことが大人なのだというメッセージを聞かされ続けてきました。

しかし私たちはみんな、からだは大人になったとしても、自分の心の奥に小さな子どもを抱えながら、生きています。

安心できる親しい関係の中では、その小さな子どもがどんどん出てしまうのです。

「自分の不安をぶつけてしまってごめんなさい、本当は別れたいなんて思っていないの」と、言葉に出してあやまることがまず大切でしょう。

そして、不安をぶつけてしまう自分の中の小さな自分自身を、彼に抱きしめてもらおうとするのではなく、あなたご自身で抱きしめてあげてください。

彼にも、彼の中の小さな子どもがいるわけですから、彼にふたりぶん抱きしめてもらおうとするのは、むずかしいわけです。

男性は男性で、弱みを見せてはいけないと言われて育ってきていますから、見栄をはったり、感じないふりをしています。あなたのように不安をぶつけてくる人に対しては、遠ざかるしかないのかなと、彼も不安になることもあるでしょう。

彼と大人の関係を築きたいなら、負担なら別れましょうか、などという本当の願いの裏返し、つまり甘えの婉曲表現は、避けましょう。率直に「いつかは一緒に暮らしたいわ」と切り出して、そのときにはどんなふうに暮らしましょうね、などのポジティブで正直な思いを伝えていきましょう。

甘えたいという小さい子どもの部分は、他のところで解放してみましょう。たとえば自然の中で、あるいは仲のいいお友だちとの恋愛自慢の中で、「一緒に暮らしたい!」と叫ぶのはどうでしょうか。お友だちも当事者ではないので、深刻に受け止めず笑って聞いてくれるでしょう。

彼といればあなたが元気で、彼といる時間を楽しんでいることを伝え続けてください。

彼とのいい関係は、長く続いていくことでしょう。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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