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仕事に楽しさを求めてもよいですか?

遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

仕事が楽しくありません。自分がやりたいことをしようとすると上司から阻止されます。職種は介護で、仕事自体は自分に向いていると感じています。もっと一人ひとりとゆっくり関わりたい。質の高いケアをしたい。そういう思いが、スピード感を求める現場の中では迷惑になるようです。このまま今の仕事を続けていくかどうかも含めて、悩んでいます。(シラサギ・33歳・男性)

楽しい職場を求めてください

介護の現場にいらっしゃるとのこと。私も障がいをもつ立場から、当事者として利用者として、現場を作ってきました。ゆっくり人と関わって質の高いケアを提供したいというお気持ちは、すごくよくわかりますし、そう考えてくださること、とてもうれしいです。

ところで私からも質問がわいてきました。やりたいことができない職場の中を変えたいのか、それとも、新しい職場を探したいと思っていらっしゃるのか……。

ただ二度三度、ご質問を読むうちに、今の職場を離れてみられるのもよいのかな、楽しく働ける場所がほかにあったら、新しい職場で冒険、挑戦なさるのも、よいのかなと思いました。ここではその方向で、お答えしますね。

自分が楽しく働ける現場を本気で作りたいのなら、ご自身が経営にもかかわるかたちで、職場を作り出すことは可能です。

楽しく働いている介護の現場は、全国にいくつもあります。

たとえば富山には「このゆびとーまれ」という事業所があります。年齢や障がいの別を超えた民営のデイケアハウスで、20年以上も前にスタートし、その「富山型」デイサービスを学びに全国から人が集まっています。

ほかにもご自身の理想に近い事業所が見つかれば、思い切って住み込みで実習させてもらい、気に入ったらそこに就職してもいいし、アドバイスをいただいて自分で事業所を立ち上げるのも、いいと思います。

求める心次第で、出会いの場は必ずや拓けます。どうぞ、楽しく介護をしている場所を求めてください。求めていく中で、出会いと学びを得ることができるでしょう。可能性はあなたの前に、無限に広がっています。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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