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第26回 もっと自分らしく、生きていきましょう

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像
*質問は前回と同じです(編集部注)
相模原事件のあと、車いすを使っている自分のことを、みんなもじつは厄介者と見ているんじゃないか、という疑念がとれなくなりました。外出は好きなほうでしたが、街に出るのもこわくなりました。これまでそんなふうに感じたことがなかったので、どうすればよいのかわかりません。アドバイスがあればお願いします。(かもめ・22歳・学生)
もっと自分らしく、生きていきましょう

私も事件を知った時は、部屋から出るのがこわくなりました。私の場合は、事件が起こる前から、私は障がい者として社会の厄介者として見られることがあるのを感じてきました。

母も書いているように、障がいを持った人への差別・暴力というのは、時に「あなたたちのために」という言い分のもと、行われることがあります。

障がい者たちが、自分の選択肢を丁寧に聞かれることなく、学ぶ場、暮らす場所を決められていくこと、自分の意思の外で、生きていても幸せになれないと決めつけられた仲間たちが、安楽死させられた過去。

私たち当事者の立場からしたら暴力であることを、社会はそれが「私たちのために」なると思い込んでしまっている節があります。

私がこの事件のあと強く感じたのは、私たちはますます自分らしく生きていく必要がある、ということです。

残念ながら、自分らしく生きることや、幸せに生きる能力すらないと決めつけてくる社会に対してできることは、自分らしく生きることです。そして、人生は障がいのあるなしにかかわらず、ずっと幸せなものではありません。その中でもどういう人生を選び、どんな幸せを見つけていくかは、本当に一人一人にかかっていることです。

私にとって自分らしく生きていくということは、たくさんの人と繋がりを作って、その中で生きていくことで、そうすることで、人が私と関わる時、障がい者というイメージから抜け出して、私という人を一人の人として関われる人が増えれば、と思っています。

外に出るのがこわい、と感じながら日常を送るのは、精神的に本当に疲れることです。それを抱えているのは、自分のためにも周りのためにも健康ではないと思います。

私は事件が起こった時、その恐怖を一人で抱えていると自分によくないと思って、その週はいろんな友達に話を聞いてもらったり、一緒に泊まったりしてもらいました。

質問者さんの周りにいる人で、安心できる人たちにその恐怖を打ち明けてみるのはどうでしょうか。そんな風に私たちが感じることに、人は意外と気づいてなかったりします。

私たちがこんなに恐怖をもっているということは、障がいのない人にとってもショックなことだったりします。そして、私はそれがショックなことと知ることで、そんな恐怖を抱えなくてもいいと肯定される感じがします。

本当に辛いことがある社会ですが、一緒に生きていきましょうね!(宇宙)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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