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第6回 だれひとり、迷惑な存在はありません

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像
幼少期より私は父から感情的にたびたび叱られ、母の陰で泣いてばかりいました。小学校にあがる前には父を恨むと同時に、「自分なんか生まれてこなければよかった」と自分を責め続けていました。学校でも不登校になり、社会人になってからは趣味のサークル内で邪魔者扱いされた経験が、さらに「自分が迷惑な存在」という思いを強くさせ、人と会うのが怖くなってしまいました。妻と子どもとの関係は良好ですが、それでも自責の妄想が強くなるときは、苦しいです。「自分が迷惑な存在」という思いから逃れられるよい手段がありましたら、お聞かせください。(モンキーピンチ、33歳、自営業)
だれひとり、迷惑な存在はありません

よく書いてくださいましたと、お礼を言いたいです。迷惑な存在と自分を責めていらっしゃるなら、たぶん、それを言語化することさえ迷惑なのではないかとどこかで自分を責めながら、書いてくださったのだろうと思います。

私たちがここに生きて、存在するというこの一点において、私は、だれひとり迷惑な存在はないと確信しています。生きもののいのちは、生きてそこにあるという一点において、ほかのいのちから、迷惑だとか、いないほうがいいとか、決めつけられたり、傷つけられたりする必要はありません。どのいのちも完璧に、その時空間に存在していいのだと、存在していいから存在するのだというこの真実が、ほとんど多くの人に認識されていないのです。

そのことで私は、しょっちゅう泣いていました。だれも傷つきたくないし、だれも傷つけたくないし、本来、傷つけ合いたいと思っている人はひとりもいないのに、この社会に生きていると、まるでそうでない現実ばかりが目につきます。

あなたが小さいときにお父さまから八つ当たりされただけで、お父さまにとっては、かわいい大事な息子に決まっています。趣味のサークルでも、みんなと仲良くしたいと思いながら、傷ついた過去の体験を投影させて今の現実を生きのびようとしてしまうので、恐怖がやってきてしまいます。

もし、できるなら、奥さまとお子さんにきちんと気持ちを伝えて、まずとにかく日々の中で、応援を得てください。繰り返し繰り返し、どんなにあなたが大事なのかを伝えてもらってください。そしてもちろん自分からも、自分の幼少期にはなかった、愛情あふれた言葉で、日々を満たしてください。

愛情深い言葉というのは、その言葉自体が、存在の承認となります。ですから、奥さまとお子さんに頼むだけではなく、ご自分でも習慣となってしまったネガティブな言葉を意識的にストップし、自分はよくやってきた、ベストを尽くしてきたと、繰り返し言葉に出して自分に愛情をあげてください。

ネガティブな気持ちは、真実ではありません。それは、傷ついた感情にすぎません。真実は、どの瞬間もどの瞬間も、生きることをあきらめず、サバイブした自分がいる、ということです。とくに、幼い日に、お母さんの陰に隠れて生きのびた自分を、いっぱいほめてください。私からも、たくさんの賞賛と、陰に隠れるところがあったことを、共に喜びたいと思います。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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