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ソフィア・ヤンベリのスウェーデン便り 第3回『スウェーデン、冬の楽しみ』

『ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+』著者、ソフィア・ヤンベリさんの寄稿第3回を転載します。※1回目はこちら2回目はこちら

ソフィア・ヤンベリのスウェーデン便り
第3回『スウェーデン、冬の楽しみ』

皆さん、こんにちは! ソフィア・ヤンベリです。
2023年も3月を迎えて、ここスウェーデンも少しずつ春らしくなっていくと良いな…と思っていたのですが、先日ヨーテボリからストックホルムへ帰ったら、まさかの吹雪でした…。でも、3月に雪がまだたくさんあることを喜ぶスウェーデン人は実は結構多いんです。それは、この頃スウェーデンでは「スポーツ休み」があるから。「スポーツ休み(Sportlov)」って言うのはこの時期学校で設けられている一週間の休みで、多くの家庭で両親が仕事の休暇を取って、家族みんなでスキー旅行などに行きます。そんなこともあって、3月のスキー場は家族連れでとても混み合います。
今日はそんなスウェーデンの冬の楽しみ方について、ご紹介します。

街に残る人も

確かにこの時期スキー場に行く家族連れは多いのですが、もちろんスキーをしない家庭も多いです。例えば、自分が子供だったころはいつもスポーツ休みにおばあちゃんとおじいちゃんの家に遊びに行きました。4月に一週間のイースター休みもあることもあって、この時期は子供がゆっくりできる日が結構あります。社会人にこの休みはないんですが、多くの家族連れが旅行しているため、都会はいつもより空いていて、電車も混まない…いつもよりストレスが少ない気がします。

セムラの日

この時期のスウェーデンは寒くて日が短いこともあって暗いんですが、楽しいこともたくさんあります。たとえば、休日以外にはセムラの日(今年は2月12日でした)など、ワッフルの日などがありますね。
セムラ(Semla)はスウェーデンの伝統的なお菓子で、昔はとても高かった材料(砂糖、生クリーム、アーモンドペーストなど)を使います。少し甘いカーダモンのパンに、生クリームとアーモンドペースト。シンプルですが、とても美味しいです。
実は今働いている会社で、今年「トスッホクルムの一番おいしいセムラを見つけるコンテスト」なんてイベントが行われたんです! まずストックホルムにある8つのカフェのセムラが候補に挙がって、その後2つのお店に候補が絞られました。そしてセムラの日にファイナリストとして残った2つのお店のセムラのうち、ひとつがストックホルムで一番おいしいセムラ「Bästa Semla 2023」として選ばれました!
興味のあるかたは、この優勝したカフェ「Ett Baseri」のセムラを食べにストックホルムに来てみてくださいね!

ESCも外せません

皆さんは、「ESC(ユーロビジョン・ソング・コンテスト)Eurovision Song Contest」のことを聞いたことがありますか。ESCは、ヨーロッパの様々な国が参加する音楽の一大イベントです! 国ごとにアーティストが出場して、ESCのために作った曲で参加します。観客も審査員も投票して、ヨーロッパでは大人気です! 最初のESCは1956年に行われ、世界中の一番長く続いているテレビ放送される音楽コンテストです(「世界最長寿のテレビ音
楽コンペティション」としてギネスにも認定されています)。
参加できる国は、もともとはとヨーロッパの国けだだったんですが、オーストラリアから視聴しているファンがとても多かったこともあって、近年はオーストラリアからも毎回参加するようになりました!
スウェーデンは、これまでに通算6回優勝しこたとがあって、その内ひのとつがABBAによるもので、彼らは1974年に「Waterloo(邦題:恋のウォータールー)」を歌い、スウェーデン出身のアーティストとして初めて優勝しました。こういった背景もあってか、スウェーデン人は結構ESCに熱心で、ESCのスウェーデン代表を選ぶために、スウェーデン国内のコンテスト「Melodifestivalen」がESCの前に開催されます!
今年(2022年)のMelodifesiivalenのファイナルが3月11日に予定されていて、この記事を書いている時点ではまだ結果が分からないです…。この2〜3月はMelodifestivalenが毎週土曜日に行われていて、スウェーデンではこの話題で盛り上がります! 様々なジャンルの音楽がノミネートされるので、聴く人それぞれが気に入る楽曲が出てくるはずです。今回は2012年にESCで優勝したアーティストLoreenがまた参加しているので、勝ってもびっくりはしないです…。

こうやって、スウェーデンも冬の終わりが一日ずつ近づいてきます。今日のような吹雪もあれば、春の印も毎日増えていきます。例えば、今日、おじいちゃんの庭に、
「Snödroppe」という、小さくてかわいい花が咲いているのを見ました。
小さいころからこの花を見ると、春もあと少しでやってくるんだなと実感します。明るい時間も毎日伸びています。一番暗い時期には、トスッホクルムでも3時ぐらいまでにはすっかり暗くなってしまうんですが、最近は午後5時半までは明るくなりました。冬にも楽しいことがいっぱいありますが、それでもやっぱり明るくて暖かい夏が非常に楽しみで待ち遠しいですね。

(『ビョルク-白樺-』第158号、スウェーデン交流センター、2023年4月10日より転載)

ソフィア・ヤンベリ(Sofia Jernberg)
1993年ストックホルム生まれ。ストックホルム大学日本研究学科在学中の2013年に初来日。南山大学に留学後、帰国してストックホルム大学を卒業。 2016〜17年上智大学に留学。2018〜19年スウェーデン交流センター(北海道当別町)に勤務。現在、スウェーデンの特許法律事務所に勤務。『ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+』著者。


▼ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+

ぼくが小さなプライド・パレードの表紙イラスト

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