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メディアのトリック

 2020年が始まりました。
 年明けのニュースは希望あること、楽しいことを選びたいところ。
 しかし1月4日、「第三次世界大戦」が世界各国のTwitterでトレンド入り。そのニュースを見てしまった人には、ちょっと見過ごせない話だったのではないでしょうか。

 先月刊行した森達也さんの新刊『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』では、メディア(ネットやテレビ、新聞など)と戦争の関係についてもずいぶん紙面を割いています。
 なぜなら第二次世界大戦では、映画やラジオなどの、当時新しかったメディアを使った宣伝がさかんに行われたから。それを信じ込み、煽られたドイツ国民や日本国民が、無謀な戦争を支持したというわけです。
 森さんはこう書きます。

 だからこそ注意してほしい。考えてほしい。メディアはこわい。使い方を誤ると、たくさんの人が死ぬ。メディアの情報を何の疑いもなくそのまま受け入れてしまうと、人を殺し、そして自分も殺されることになる状況を呼び寄せてしまう可能性がある。
 人はそこまで愚かじゃないと言う人もいる。僕もそう思いたい。でも歴史はこれを証明している。メディアによって危機をあおられたとき、人は簡単に思考を停止してしまう。普通だったらとてもできないようなことを、いとも簡単にやってしまう。同じことを繰り返さないと信じたいけれど、メディアそのものは、かつてのころとは比較にならないほどに進化している。つまり、より巧妙なプロパガンダが、やる気になれば簡単にできる。
(『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』第2章「ニュースを批判的に読み解こう」)

 北朝鮮からのミサイルがさかんに話題になっていた時期、集団登校する小学生たちの一人が「ミサイルこわいよう」と心細げにつぶやいていたことに、心が痛くなりました。
 紛争や戦争のニュースは、どんなかたちであれ、子どもたちにも影響を与えています。
 家族や友人同士で社会問題について話すことは、なかなかむずかしいかもしれません。でも子どもがどう感じているのか。大人からどう説明すればいいのか、悩んでいる方がもしおられましたら。この本が、何かのお役に立てるかもしれません。

 一般の国民は、もちろん、戦争を望みません。
 ナチスドイツの国家元帥だったヘルマン・ゲーリングの言葉です。
 でも続けてゲーリングは、とある魔法の文句を垂れ流せば、戦争を煽るのは簡単だという主旨のことを言い残しました(彼は戦後の国際裁判で死刑判決を受けた後に自死。気になる方は『フェイクニュースが〜』でも少しふれているので読んでみてください)。
 そうしたメディアのトリックを知っていることも、メディア・リテラシー(メディアを読み解く力)の一つです。
 メディア・リテラシーを身につけて、戦争は嫌だよね、という本来の世論が強くなる一年になればいいのにな。
 なんてことを想像する年の初めです。

フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ 増補新版世界を信じるためのメソッド

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