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「第17回 暑い季節の寒さ対策」 少女のための”海外へ出ていく”話

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四季のある日本

 国内にいると、どの季節に何を着たらいいか、だいたい想像がつきます。いくら暑くても秋に向かうころには、ある日突然、スイッチを入れたようにかちっと秋になる日がある。冬はだいたい寒くて、春になると少しずつ暖かくなってくる。四季のある日本の暮らしは、「だんだん暖かくなる」「だんだん寒くなる」というふうに、徐々に季節は変わっていきますので、着るものもそうやって少しずつ調節していくものです。秋、もみじとコーヒー

 いったん、日本の外に出ると、天気は予測できません。熱帯の国に行ったら暑いのか、といえば、おおよそ暑いですけれども、高地だと寒い。ではヨーロッパに行けば、夏は暑いのか、といえば、暑いときもあるけれど、雨がしとしと、薄ら寒いときもあります。例えばイギリスなどは、玄関先のジャケットやコートは、夏でも片付けられないくらい活躍する地方も多いし、そうかと思えば、急に暑かったりする。安定して一年中暑いところもあるけれど、そうではないところもあるのです。

 暑いのは、まあ、いいです。服を一枚ずつ脱いで、身軽になっていけばよいのですから。

 でも、寒いのは困りますね。寒いのをがまんするのは、なかなかにつらい。冬の北海道に行きます、とか、カナダやフィンランドに真冬に行きます、ということならしっかり着込んで、寒さ対策もして、暖かくしていくと思いますけれど、「冬の、寒いところに行くのではない」ときでも、ある程度、寒さ対策、というか、からだを温められる服装を持っていないと震えるような思いをすることがあります。

暑くないアフリカ

 私自身は生まれて初めて20代前半にケニアの首都ナイロビの空港に降り立ったのですが、おろかなことに「アフリカは暑い」と信じきっていて、標高約1800メートルの高地にあるナイロビの気温を全く想像することができませんでした。

 夜に到着したナイロビでは、みんなセーターを着ているではありませんか。真夏の格好で、なぜか、届かない荷物をじっと待っている間、本当に寒かった。それが初めての海外の経験ですから、その後は必ず、どんな国に行くときでも、ある程度の寒さ対策をするようになりました。ビルと夕日

 行き先もさることながら、移動する飛行機の中、というのも寒かったりするものです。日本の航空会社のフライトでは、最近は、びっくりするほど機内が寒い、ということはなくなりましたが、他の国の航空会社では、まるで冷蔵庫でしょうか、というくらい、キンキンによく冷えるフライトが、けっこうあります。

 ここ数年、エルサルバドルという中米の小さな国に仕事で通っています。エルサルバドルの首都、サンサルバドルに向かうには、このごろはメキシコシティ直行便という、メキシコ行きの便ができたりして、便利になりましたが、以前は、いつもシカゴやヒューストンなどアメリカの空港を経由して行っていました。そのアメリカからサンサルバドルまで、6時間程度のフライトですが、その飛行機が、なぜかいつも、ものすごく寒いのです。飛行機の中ではブランケットを貸してくれますけれど、ときどき、ないこともある。よく同行する仕事仲間は、このフライトのために、真夏でもフード付きのフリースを持って搭乗しているくらいです。

 機内持ち込みの荷物に、ある程度の寒さ対策になるものを入れておけば、機内でも、到着した空港の思わぬ寒さにも、対応できます。

わたしの寒さ対策

 夏場の日本から、そこそこ暑い国に旅行するときを想定してみましょう。家を出るときは、いわゆる日本の夏の軽装だったとしても、上記のように、飛行機の中での寒さや現地での思わぬ寒さに対応できる装備を用意しておいたほうがよいでしょう。

 わたしがいつも寒さ対策として持っていく衣服は、ストッキング、ハイソックス、レッグウォーマー、ハイネックの長袖シャツ(ユニクロのハイネックのヒートテックなど)、薄手のダウンジャケットかコート、それに薄手のショールです。これくらいは手荷物として持っていきます。

 とにかく足元を温かくできるものを持っていること。特に女性は、内くるぶしから指三本分くらいうえのところにある、三陰交という東洋医学のツボあたりが冷えるとあまり体によくなくて、なにかと、体調をくずしやすい、といわれています。暖かそうな靴下を履いている足

 飛行機の中や旅行しているときには、足がむくむことがありますから、ぴったりした靴ではなくて、サンダルのようなものをはいていてもいいと思うのですが、靴下は、しっかりはく方がよさそうです。私自身は飛行機に乗ると、すぐにハイソックスをはいて、この三陰交あたりを温められるようなレッグウォーマーをつけます。それでも足元が寒かったりするときは、トイレに行ってストッキングをはきます。パンティストッキングというのは、かさ高くもないし、最高の防寒具になり得ます。パンティストッキングをはいて、ハイソックスにレッグウォーマーをしていれば、極寒の地方に行くのでない限り、まず足元は冷えずに済みます。

 上半身が寒いときは、もちろん何か羽織るものを持っていれば、それを着ればよいのですが、こちらもトイレかどこか、着替えられるところに行って、着ている服の下に、ハイネックのヒートテックを着込んでしまえば、かなりの冷えに対応できます。また、羽織ものとしては、いまは、薄手で、畳んでしまえばとても小さくなるダウンジャケットやダウンコートが手に入りますから(これもユニクロ製がとてもコンパクトになるので重宝しています)、それを持って搭乗すれば、安心です。

 それと、ショール。薄手の大きなショールは、いつも持っているといいですね。大判のスカーフは値段が高くなりますが、イメージとしてはイスラム教の女性たちがかぶる「ヒジャブ」とよばれる大きな布のようなショールです。今はなんでもインターネットで調べられるので、いろいろ探してみてください。そんなに高価ではないものを探すことができるでしょう。

 ショールは、寒いときは首に巻いたり、肩にかけたり、また、機内で「ブランケットがありません」、といわれたときに、膝にかけることもできます。それでもどうにも寒いときには、このショールで、それこそ、イスラム女性がやるように頭をおおうと、とても暖かくなります。頭はかなりの体表面積を占めていますから、頭を何かでおおうと、かなりの保温になるのです。

 また、うすいショールは、日差しが強いところで帽子や日傘を持っていないときの日よけになります。つまりは、防寒にも、日よけにもなるので、一枚、持っているととても重宝します。

 こういう風に使っていると、イスラム女性たちが常に身に着けているショールは、西洋的な感覚では女性の抑圧のように言われることもあるのですが、なかなかに機能的なものであり得ます。イスラム女性の素敵なスカーフのかぶり方について、調べてみても興味深いかもしれませんね。

三砂ちづるプロフィール画像
三砂ちづる (みさご・ちづる)

 1958年山口県生まれ。兵庫県西宮育ち。津田塾大学国際関係学科教授、作家。京都薬科大学卒業、ロンドン大学Ph.D.(疫学)。著書に『オニババ化する女たち』、『昔の女性はできていた』、『月の小屋』、『女が女になること』、『女たちが、なにか、おかしい』、『死にゆく人のかたわらで』、『五感を育てるおむつなし育児』、『少女のための性の話』、訳書にフレイレ『被抑圧者の教育学』、共著に『家で生まれて家で死ぬ』他多数。
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船でアメリカへ行っていた頃 - 私の働いている津田塾大学という学校には、「健康余暇科学」と呼ばれている科目がいくつかあります。普通の学校では「保健体育」と呼ばれるような、健康に関すること、また、体を動かすこと、スポーツ、などの科目を津田塾では「健康余暇科学」と呼んでいるのです...... https://mitsui-publishing.com/gift/column_03/goabroad09

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