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第42回 愛情をもって、話しかけてみて

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

地下鉄で、赤ちゃんにスマホを使わせているお母さんを見かけました。赤ちゃんは、20分以上はスマホをさわっていて、電磁波過敏症の私はとても気になりました。声をかけようかと迷いながら私は地下鉄を降りてしまい、もやもやした気持ちが続いています。今度そういう場にあったら、どのように声をかけたらよいでしょうか。(コメット・50代・自営)

電磁波は、放射能と同じで、見えないためにほとんどの人がその害を深刻には思っていません。でも、敏感な人にはわかりますよね。私も電磁波に弱いので、地下鉄に乗って両サイドの人たちがスマホを使っているときには軽い頭痛がしたり、体がだるくなったりします。そうした電磁波過敏症の症状だけでなく、小さい子どもの場合、表現力や自発性の発達への懸念も言われています。(注1)

ヨーロッパでは安全規制が進んでいます。イギリス、フランス、ロシア、スウェーデン、フィンランド、イスラエルなどで子どもの携帯電話使用を制限、または禁止する勧告が出ています(注2)。ところが日本では、子どもに対する制限はありません。

私が考えていることは、小さなカードに「電磁波のこと、知ってますか?」とか簡単なメッセージを書いて、裏面には電磁波についてよく研究したり、勉強しているグループの連絡先を入れたものを作ってみることです。そんなカードを持って歩けないかな、といつも考えています。まだ実行したことはないのですが。

どんな場合でも、非合理的な状況に子どもが追いやられていたら、とにかく私たちは、どんな言葉でもいいので、まず話しかけるのが大切です。

たとえば「何を見てるのかな?」とか、「小さいおててに重くないのかな?」とか、赤ちゃんとお母さんに話しかけてみてください。そのときには、非難したり、電磁波の害をすぐに伝えなければならないと意気込む必要はありません。

お母さんはいつも一生懸命、子どもを大事にしたいと思っているわけですから、「電磁波はからだに悪いですよ」「害を知っていますか」などと話しかけられたら、お母さんの耳は閉じてしまうでしょう。

まず、「かわいいお子さんですね」と言いながら、「おいくつですか」とか、「何人目のお子さんですか」とか、電磁波に心を煩わせることなく、問いかけてみてください。

話しかけられたお母さんは、きちんとこちらを見てくれるかどうかはわかりませんが、少なくとも赤ちゃんは、あなたの声かけに反応するお母さんに、注目するに違いありません。赤ちゃんにとっては、お母さんの声、お母さんとのコミュニケーションが、いちばん大切なわけですから。

あなたが愛情をもって、その親子に近づくならば、赤ちゃんの手は、いつの間にかスマホを手放しているでしょう。

一期一会を楽しみ、小さな子どもがスマホではなく、お母さんとコミュニケーションする機会を、一時でも多くつくってみましょう。(遊歩)

 

 

私は電車の中で小さな子どもと出会うと、仲良くなりたい!と思います。

そして、こちらが子どもに注目すると、かなりの確率で、こちらの注目に子どもが気付いてくれます。

そうすると子どもは、スマホより、自分と遊んでくれる人に意識を向けるものです。そんなとき、私はたとえば「いないいないばあ」をしたり、手遊びをしたりします。

電車の中で知らない人と話すことなど、もうほとんどなくなってしまっていますが、多くの子どもたちは知らない人との出会いを楽しむ力を持っています。

子どもが知らない人と遊んでいるのを見て少し戸惑う親御さんもいるかもしれませんが、だいたいが喜んでくれるように思います。

遊歩の回答にあるように、電磁波の影響を突然伝えようとしても、ほぼ伝わらないでしょう。

親御さんに話しかけるより、子どもと仲良くなった方が、子どもの気がスマホから逸れて、スマホから休憩して欲しいという思いも叶うし、ハードルが低いように思います。

スマホはとても便利なものですが、同時に、人と人との距離を広げてしまうこともあるように感じます。質問者さんと出会った子どもたちが、画面を超えて、距離の近い、でも、同時に多様で豊かな世界に出会えるといいですね。(宇宙)

 

注1)北海道新聞2017.3.7「スマホ育児大丈夫? 親、視力への影響懸念「発達に支障」の声も
注2)矢部武『携帯電磁波の人体影響』(集英社新書、2010)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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