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第41回 まわりの大人が、子どもにかかわって

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

若い男性に夢中な友人が心配です。彼女は、障がいのあるお子さんと、夫の3人家族です。恋した相手にストーカー気味なアプローチをして、疎まれてもいるのに、熱が冷めそうにありません。何よりお子さんがおろそかにされていないか、気になります。今は何を言っても無駄なように思えるのですが、アドバイスがあればお願いします。(あさり・40代・主婦)

まわりの大人が、子どもにかかわって

常識的に受け容れられない恋をしている当事者の方は、私からみると、極端に二つに分かれる傾向があります。一つは徹底的にがまんする、もう一つは、行き着くところまで行くと言わんばかりにある種破滅への道をたどるパターンです。

多くの場合、がまんして、まわりもひどく巻き込まれることはありません。しかしご相談者のお友だちは、おそらく夫との関係、お子さんとの関係からつらい状況にあって、心の底で、もう行き着くところまで行ってしまえ、という自暴自棄の気持ちから、恋をしているかもしれません。

おっしゃるとおり、お子さんが心配です。ご相談者も案じておられるということは、心配になる状況を見聞きされたのでしょうか。子どものことを、気にかける人がいるといいですね。おばあちゃんや、おじさん、おばさん、ほかの友人など、恋をしている当事者の方が頼れる人は、あなた以外にいらっしゃいますか。

当事者の方のお連れ合いはどんなご様子ですか。ご自身の子どもに対して、ちゃんと見なければという思いは、お持ちなのでしょうか。

もし私が近くにいる友人ならば、第一にすることは、このお連れ合いとの話し合いだろう、と思います。彼女の恋は、お連れ合いや周りの身近な人に対する「助けてほしい」という気持ちが、若い男性に向かっただけ、という気がします。

お子さんがどんな障がいをお持ちなのかわかりませんが、子どもの生活がきちんと成り立つための、サポートをしてくれる人はぜったいに必要です。

障がいをもつ子の育ちは、親だけで担うものではありません。親だけで担う必要がないように、私たちは、子育てを社会化する、という権利運動をしてきました。

恋愛感情が冷めるまで待つのではなく、もし、お子さんの状態に、それまで感じられなかった異変があるならば、地域の自立支援相談員のような方に相談されるのは、いかがでしょうか。

あるいは、たいへんむずかしいことでしょうけれど、週に一回程度、お子さんを預かるなどの具体的な行動も、できるとよいかもしれません。

恋愛感情は、はしかのようなものとよく言われます。しかし、たとえ一時的なものであっても、その状況の中で追いつめられるのは、障がいのある子どもです。

はしかの嵐が収束するまで、お子さんに安らかな生活が保証されるよう、周りの人が大いに関わってほしいと思います。それは、彼女に説教したり、彼女の恋愛相手の男性をかばうこと以上に、言葉で表現できない子どもの苦悩に、寄り添うということです。

相談者の方が、そのことに直感的に気づいていらっしゃることは幸いです。

地域社会とは、多様な人たちが、ともに生きるための工夫や努力を展開する場所です。さまざまな多様な支援の道筋を想像して、助け合う地域社会を作っていきましょう。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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