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第38回 必要のないものに、縛られないで

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

大学時代、ひとり暮らしのアパートで引きこもりになりました。親に連れ戻されて、病院に通い、精神障がい者手帳を取りました。その後、いい人々と出会い、今は薬も飲まず、少しずつですが確実に元気になってきています。先日、自動車の免許を取ろうとしたら、手帳を持っていると、診断書が必要になったり手続きが煩雑になると言われました。将来的にも手帳がどんな役に立つのかわからず、もう必要ないかなと思っています。どうすればよいでしょうか。(Wood・23歳・アルバイト)

必要のないものに、縛られないで

障害者手帳がある国は、日本の他にフランス、ドイツ、韓国、台湾などです 。これらの国では、手帳を持っていなければ、割引やさまざまなサービスを受けにくくなります。

日本の場合は身体、療育(知的障がいを対象)、精神と3種類の手帳があり、各手帳の等級ごとに受けられるサービスが違います。一般的に等級がかるい場合は、受けられるサービスや割引は少なくなります。

この等級は日本の場合、法律に基づいて医師が決めます(注1)。私たち当事者の主体性を重んじる発想はありません。しかし障がいの程度認定にソーシャルワーカーや、障がい当事者が参加できる国もあります。

精神障害者の方の手帳(精神障害者保健福祉手帳)を持つことで受けられるサービスは、NHK受診料の減免、所得税、住民税の控除です(公共料金の割引は自治体によるようです・注2)。まずはお住まいの自治体で確認してみてもいいかもしれません。

障害者手帳を持っていることは、自分自身にある種、枠をはめられるような気がしますよね。精神障がいの場合はなおのこと、割引を使うにもわざわざ手帳を出すとか、質問者さんのように資格をとろうとすると診断書も取り寄せなければならないなど、行動の自由を保証するものではないし、むしろ制限される場合も多いのが現実です。

自分が自分であるために、このいびつな優生思想社会を生き抜くために、使うか使わないかと決めるのは、自分自身です。

この企業社会に異様に巻き込まれないために、手帳を持つことも、一つの選択である場合もあるでしょう。

私の場合は、障がい者手帳は必要なサービスを使えるので、あまり心地よくはありませんが、持ち続けています。なぜ心地よくないかというと、割引を受けるときは手帳の提示を求められますが、差別されるときは手帳の提示に関係なく差別されるからです。

質問者さんの場合は、もう薬も止めて、回復への道をたどっているとご自身でも手応えをお持ちのようですから、返還されることに賛成です。

必要のないものに縛られて自分の自由を失うようであるならば、返還されて安らいだ人生を送られることをおすすめします。

社会は、お互いに助け合うためにあるものです。人間関係でさらに助け合う道を想像して、歩んでいってください。あなたの大切な方々、ご家族、そしてすべての人たちとさらに助け合い、すてきな人生を生きてください。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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