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第35回 自分の共感能力に、感謝して

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

ネットでこわい写真を見ました。羽もなく、脳死状態で管につながれた鶏たちの写真です。いのちをいただくのはありがたいことだけれど、そんなふうに育てられた鶏さんを食べていいのかな、と気持ちがもやもやします。友人に話すと、ほとんどの人に「そんなこと言ったらなにも食べるものがないじゃない」と言われます。うまく伝える方法があればおしえてほしいです。(スノー・30代・ヘルパー)

自分の共感能力に、感謝して

本来、鶏は4〜5カ月かけて成長し、記憶力や学習能力をもち、コミュニティを作って生活します。平均寿命は10年と言われています。

一方、鶏肉用の鶏(ブロイラー)は50日(2カ月弱)で成長し、屠殺場に運ばれ、殺されます。

私たちは、戦後、大量に消費することが幸せだというマインドをすり込まれてきました。食の世界がその最たるものの一つです。大量消費の流れに乗れなければ幸せじゃない、と思い込み、自分の中の欲望を無批判に煽り続けているのが、私たちです。

しかし、脳死で管につながれた鶏の姿をご友人に伝えたい、という思いは、本能的な感性だろうと思います。

いのちを軽んじる場面に、なぜ私たちは恐怖をおぼえるのでしょうか? 自分のいのちもまた、その軽んじられた命と同様に、残酷に扱われるかもしれない、という本能的な共感能力が働くからではないでしょうか。

私たち人間は、ひとりでは生きられません。危険な状況に遭ったら、みんなで助け合って危険を避けようとしますよね。それが人間にとって自然な選択なのです。

ですから、まず、お友だちにこのことを伝えたいと思った、あなたご自身の共感能力、つまり、いのちを大切にする感覚に、感謝してあげてください。

今は肉を食べれば体力がつく、肉はおいしい、という情報が常識かもしれませんが、そうではない情報もあります。たとえば肉を食べないアスリートがいます。ミートボールなどの加工品には食品添加物の問題があることは、よく知られるようになりました。大量消費社会は、売れればよいという経済原理にもとづいて、大量の偽情報を流通させていることも、覚えておいてください。

「食べるものがなくなる」というお友達に、こうしたことを口頭で伝えることは、確かにむずかしいかもしれません。アニマルライツセンターなどから、パンフレットが数種類発行されています。そうしたパンフレットを渡すのもいいと思います。

あなたの一言が、ほかのいのちを守り、動物を苦しめることのない社会への第一歩となることを確信して、少しずつ、踏み出してください。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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