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第23回 どんな人もそこにいていい

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像
私は仕事においても生活においても、自分の居場所がありません。自分の考えを話しても、私が望んでいる答えと違う答えが出て、仕事をする気力もなくなってしまいます。そして、そんな自分がきらいです。一緒に悩んでくれる健常者の仲間がほしいです。一緒に協力してくれる仲間がほしいです。(みやなこ・40歳・フリーター)
どんな人もそこにいていい

「健常者の仲間」という言葉で、障がいを持っていらっしゃる方だな、と気づきました。まず私は、障がいを持つ人として、あなたの仲間です。仲間を信頼して、投稿してくれてありがとう、とまずお礼を言いたいです。

社会は、障がいを持たない人のからだに合わせてあらゆるところが作られていますから、居場所がないと感じるのは当然です。

みんなが当たり前に使えるもので、あなたにとって使いにくいものはありますか。あるいは(あなたが車いすを使っていたとして)、段差が多くてあなたの移動が制限されるような場所で、他の人が不便なく動き回っている状況があったとします。そこであなたが、自分の居場所がないと感じてしまうのは当然です。

そういうときには、周りの人に合理的配慮を求めてみましょう。合理的配慮とは、たとえば車いすの人を雇う場合に職場にある段差を解消するとか、目の見えない人を雇う場合、その人が使えるようなコンピューターソフトを用意するとか、みんなが同じ地点に立つために、障がいを持つ人に対して必要とされる配慮のことです。

また仲間を得たいということですが、その気持ちを表現できるといいですね。仲間がほしいという思いを持って、人に話しかけたり、かかわりを持ってみてください。

私は、ひとりぼっちだと感じているような人に興味や関心を持つことが多くて、おせっかいとか人の世話を焼きすぎると言われます。そんなふうに言われるまで人にかかわることも、一つの方法かと思います。

人に声をかけることがむずかしいと感じるのなら、練習してみましょう。鏡に向かって話たり、友人とロールプレイをするのもいいでしょう。自分が変われば、仲間がどんどんできてくるものです。

「居場所」という言葉のイメージはさまざまあると思いますが、あなたのイメージに近い場所を探して、参加されてみるのもよいと思います。最近は、こども食堂や、障がいを持つ人のデイケアセンターで、オープンなお食事会をするところもあると聞いています。

私自身は、すべての場所が私の居場所、と感じ、考えています。ひとりでいても大きな空を見上げるとき、木々や草の声が聞こえるときには、自然の偉大さ、やさしさを感じて、この地球が私の居場所なのだな、と感じます。自然の中の自分の大好きな場所も、すてきな居場所となるのです。

人生でいちばん根治のむずかしい病は、孤独です。しかし、私たちは言葉を持ち、人とつながることを喜びと感じる感性を持っています。そのことを自覚できれば、本当の仲間を作っていけるに違いありません。

まずあなたは悩みを書いてくださることによって、私という仲間を得たという、そのことに力を得ていただけるとうれしいです。(遊歩)

 

 

生活の中にも居場所がないと書かれていましたが、ご家族と一緒に暮らしていらっしゃるのでしょうか。

居場所がないと感じるのって、辛いですよね。それに、自分の悩みを言語化して、人に伝えるのって、難しいと思います。

でも、それを知りたいと思っている人は、必ずいます。

私も遊歩と同じように、居場所がないと感じている人が自分の周りにいたら気になるし、その方が、どうして居場所がないと感じているのか、知りたいと思います。

この社会はあまり悩みを見せず、自立しているように振る舞うのがよいことだ、とされています。そんな社会の中で悩みをさらけ出して、心から助け合える関係性を作るのはなかなか難しいことですが、必ず可能だと私は思っています。

そのためにはまず、自分が自分の仲間になって、つらいなと思ったときは無理をしないでいいよ、だれかに助けを求めに行ってもいいんだよ、と自分に伝えてあげてください。そして、仲間になりたいと思える相手を見つけたら、向こうからアプローチしてくるのを待たずに、こちらから先にアプローチしてみるといいと思います。

私も、居場所がないと感じるときがあります。それはどういうときかな、と考えてみると、「自分がここにいてもいいのだろうか」と不安に思うときです。質問者さんも、もしかしたら居場所がないと感じるとき、そうした不安を抱いているのではないでしょうか。

もう一つ大切なのは、どこにいても、私はここにいてもいい人だ、と感じるようになれることだと思います。

周りからの評価によって、自分の居心地のよさは変わってくると思います。でも、自分を常に評価しているのは自分です。私も書いた通り、自分の居場所がないと感じて不安になるときがありますが、同時に同じくらい、「自分はここにいてもいいんだ」という自信も持っています。ちょっと矛盾しているように聞こえますが、不安に思った次の瞬間、「いや、でも私がここにいるのはいいこと」と思い出せるのです。どんな場所に行っても、ずっと一緒にいるのは、自分自身です。そして、自分自身が自分の仲間になれる最初の一人だと思います。

まず自分自身を認めてあげることが、居場所を作る最初の一歩になるのではないでしょうか。(宇宙)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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