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第20回 こどもの気持ちの背景を、聞いてあげて

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像
友人が、半年前に離婚しました。心労から薬を飲みはじめ、次第に量が増え、時には起き上がれず家事が滞るほどです。友人にはお子さんが二人いて、上の小5の女の子が、お母さんの薬をこっそり飲んでいると聞きました。とても心配で何かしたいと思いながら、どうすればよいかわかりません。アドバイスをお願いします。(アネモネ・48歳・事務職)
こどもの気持ちの背景を、聞いてあげて

小学生のお子さんが服薬している状況について、相談者さんはその頻度や程度をどれくらい把握していらっしゃいますか。わからなければほんとうにご心配ですよね。

抗うつ剤等は依存性が高いので、こどもにはぜったいに飲んでほしくありません。

隠れて飲んでいるようですので、お母さんのものをとっている、わるいことをしているという感覚が、そのお子さんには充分あるだろうと思います。

お子さんと、ご相談者が近い関係であるなら、直接、お子さんと話せる機会をつくってみてはいかがでしょうか。もしそのお子さんが、自分のお母さんには正直になれなくても、ご相談者のような信頼できる第三者が身近にいて、聞く姿勢を示してくれたら、正直な気持ちを話してくれるでしょう。

気をつけてほしいことは、お母さんも、あなたのことも、どちらも大事だと思っていること、そして何かできないかと思っている、というご相談者の気持ちを、まず伝えてください。それから、「あなたが薬をとって飲んでいるらしい、ということをお母さんから聞いたんだけど」と、率直に伝えてください。

そのうえで、「薬はもちろんあなたも知っているとおり、病気のときにお医者さんから出るわけだから、もし病気ではないのに薬を飲んだらそれはからだに毒なんだよ。でも、それでも飲みたい気持ちがあるのはなぜなんだろう。それを聞きたいよ」と話してほしいのです。

わるいと言われていることを隠れてでもするときには、たくさんの混乱と、心の奥底に、わるいことをしているのが見つかっても愛してほしいという気持ちがあります。

それは、お母さんに愛されていることをたしかめたい、というお子さんのチャレンジです。

ですからご相談者からは、「お母さんは、あなたをほんとうに愛しているからこそ、わたしに助けを求めてきてくれたんだよ」と、付け加えてください。隠れて服薬してしまうような気持ちの背景に、なにがあるのかを、ゆっくりと、聞いてください。

そのお子さんはお母さんに、迷惑をかけたいわけではまったくありません。

あまりにも追いつめられた気持ちを、隠れて服薬するという行為であらわして、気づいてくれる人たちからの助けを待っているのだと思います。

そしてこどもから投げられた綱を、あなたがしっかりとつかんでほしいのです。おずおずと投げた綱をしっかりつかんでくれる人が多ければ多いほど、こどもにとっての生きにくさは、人間への信頼へと変わっていくでしょう。

この相談室でも繰り返し言っていますが、そもそもこどもは親だけでは育たないし、親だけで育ててはいけないとわたしは思っています。

このことを語り合うことによって、ご相談者さんと友人のお子さんとの間に、あつい信頼関係が生まれることを期待し、応援しています。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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