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第18回 自分のための自由を生きられたら

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

地方の大学に進学して、ひとり暮らしを始めました。地元では、事情があって親ではなく祖父母と暮らしていました。祖母は受験の時も食事に気を遣ってくれ、大学に合格した時はとても喜んでくれました。しかし最近、電話をすると、元気がありません。祖父は「おばあちゃんはぼけてきたようだ」と言います。祖父には持病があり、祖母が介護していますが、祖母が料理が面倒だという日は食事がとれないこともあると聞き、心配です。父方の祖父母なのですが、父は仕事に追われ時間がとれず、母は祖父母のことを気にかけてくれません。実家は遠いので、私がしょっちゅう帰ることもできません。どうしたらよいのでしょうか。(HS・18歳・学生)

自分のための自由を生きられたら

複雑な事情の中、がんばって大学進学を果たし、新しい生活を始められたこのときに、大切なおばあちゃんの変化、ご心配ですよね。

おばあちゃんは、あなたが自分の思う道を行かれていることで、ある意味安心されたのだろうと思います。いわゆる気が抜けたということでしょう。もしあまり高齢でなければ、少し気が抜けたとしても、やらなければならないことがたくさんあったりして、気ぜわしい日常に戻っていくものです。病気のお連れ合いと、受験生の孫を抱えた日々が一段落して、張りつめていた気持ちが一時的にゆるんだのかもしれません。

まず、持病がおありのおじいちゃんに、福祉サービスなどの社会的資源をどの程度使っているか、丁寧に聞いてみてください。

昔は、お年寄りの介護は家族が担うほかありませんでした。しかし現代は、介護保険のシステムをある程度利用できる時代です。それらをあまり利用していなければ、おじいちゃんおばあちゃんを励まして、役所の高齢者福祉課などに相談することをすすめてください。おじいちゃんが電話でご相談者とお話できるのであれば、おじいちゃんに、ケアマネさんや、役所に電話してもらうことも、いいでしょう。

またできることならおばあちゃんに、あなたの暮らす町へ遊びに来て、と誘ってみるのも素敵です。おじいちゃんにはショートステイの仕組みを使ってもらって、一週間でも数泊でも、おばあちゃんがあなたのところに遊びに来られるような時間を作ってもらうのも、いいと思います。

女性たちはじつに長い間、育児や介護を担ってきました。家族の面倒をみて、その生涯を送ってきました。おばあちゃんもまた、そういう人生を送っていかれることでしょう。ただそのなかで、かわいい孫であるあなたに会いにいくという自由が保障されたなら、人として、自由で尊厳ある人生を、さらに生きることができると思います。

だれかのための自由ではなく、自分のための自由を生きることができたら、認知症であってもなくても、それは、素敵な人生に違いありません。たとえぼけても、おばあちゃんが大好き、という気持ちで連絡をし続けてあげてください。(遊歩)

 

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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