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第12回 恋する気持ちは本来、すてきなこと

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

私は、車いすで言語障がいがあります。恋愛に興味がありますが、どうしても前向きになれません。障がいを持っていない友人は、どんどん彼氏ができて、結婚して子どももいる人もいます。大好きな人はいましたが、お付き合いしたことはありません。気になる人がいても、前に好きだった人と比べてしまいます。そんな自分が嫌いだし、恋してる自分も嫌いです。こんな私に、彼氏ができるのでしょうか?(えびふらい・19歳・学生)

恋する気持ちは本来、すてきなこと

全身が映る鏡を持っていますか。自分の姿を映したときに、どんな気持ちになりますか。鏡の前から逃げ出したくなるかな。それとも鏡を壊してしまいたくなるかな。それとももしかしたら、19年生きてきたことに、感謝して、自分によく生きてきたね、と何度も何度も言ってあげられるかしら。

恋している自分が嫌いになる、と書かれていたことが、気になりました。人を好きになってわくわくしたり、その人を見たとき、声を聞いたとき、どきどきしてうれしくなったり……。恋をして幸せなときもありますよね。

恋をすることは、そうした幸せな気持ちをいっぱい感じていいよ、ということなのだと思います。でも社会は、恋をしたらその相手とお付き合いして結婚するように、恋の結果を出すように責め立ててくるので、その幸せな気持ちを味わうことが、いまの社会ではなかなかできないのかもしれません。

本来、恋する気持ちは、とても素敵なことです。

ときにせつなく苦しいけれど、人とつながっていこうとするとき、心の中に湧きおこる、きわめて人間的な、幸せな感情です。その感情を喜ぶことを、まず試してみてください。そして、その気持ちを相手に伝えることも――もちろんしてみたいと思うなら――楽しみながら、いろんな伝え方を考えてみてください。

そしてそれと同時に、自分のからだに対する否定感から自由になってほしいと思います。

鏡に映る自分の姿を何度も何度も見て、つらい気持ちになったらたくさん泣いてください。泣いて泣いて、あなたが自分のからだに感謝できるまで、たくさんたくさん泣いてください。

自分がこれまで生きてきたこと、いま生きていることをあなた自身が認めてあげられたら、恋する相手が存在してくれることへの感謝が、あなたの中に生まれてくるでしょう。そしてその感謝の思いは、相手にも伝わるでしょう。

お伝えしたいのは、自分が恋している気持ちまでも、否定してしまわないで、ということです。結果至上主義に陥らないで、恋する気持ちは恋する気持ちとして、いっぱい楽しんでください。

そして、おそれながらも、その気持ちを伝え続け、何度もトライして、つらいと思える失恋を、障がいのあるからだのせいにのみしない自分に気づいたころ、すてきな恋人ができていることでしょう。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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