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第11回 だれかと一緒にごはんの時間を

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

独身でひとり暮らしをしていますが、家事がうまくできません。食事を作ったり、掃除も洗濯も、すべて後回しになってしまいます。毎日ほとんど外食で、体調もあまりよくなく、気力が湧いてこない感じです。持病もあり、このままでは生活が壊れてしまうのが目に見えています。そこまで追い込まれても、自分を変えることができません。アドバイスがあったら、お願いします。(ふれでぃ・34歳・男性)

だれかと一緒にごはんの時間を

ご相談の内容から、お仕事のストレスが重なって日常に気力が出ないのか、あるいは持病ゆえの気力のなさなのか、ちょっとわかりかねるのですが、たぶん今は、お仕事もとりあえずしていらっしゃらずに、おうちで家事に取り組みたいと思われているのかな、と思います。

「毎日外食で体調もあまりよくない」とありましたので、家事全般というよりは、まず食べること、食事を作ることについて、一緒に考えてみましょう。

外食ばかりなのは、たぶん、自分で作れないというよりも、人を求めておられるのではないでしょうか。一人で食べることの寂しさを感じないようにすればするほど、問題は見えにくくなります。

一緒にご飯を食べるお友だちはいらっしゃいますか。外食先でも、いつもお一人で食べていらっしゃるのかな。まず一緒にごはんを食べようというお友だちが、いるといいのですが。

食べるという行為は、人が、人らしくあるために、本当にだいじなことです。食べるときにひとりぼっちで黙って食べる、あるいはテレビを見ながら食べる、その孤独が、多くの人を、バラバラにしているのではないでしょうか。まず、ひとりぼっちが寂しいということを自覚したうえで、そこからどう出ていけるか、考えてみてはいかがでしょうか。

たとえば外食先で出会った人に、一緒にごはんを作ろうよ、と声をかけてみては、いかがでしょうか。もし可能であれば、「週に数回ごはんを一緒に食べようプロジェクト」を提案したいと思います。ご自身の家に人を招くことがむずかしければ、おにぎりを作るなど、ひとり一品作って、持ち寄ってどこかで食べてもいいですね。料理の得意な男性を探して、男の料理教室を開くのもいいかもしれません。

断られても、すぐにうまくいかなくても絶対に自分を責めないで、気長に声をかけ続けてみてください。食べることに変化が生まれれば、掃除や洗濯については、だんだん解決するのではないかと思います。今はこれが精一杯なんだ、と今の自分を認め、心の中で自分を抱きしめてください。自分を批判したり、自分にきつい評価をするのは少しずつやめていけるといいですね。

気長に、と書きましたが、これは自分が声をかけられたら……と想像してもらえば、すぐにわかると思います。いまの社会には、自分に声をかけてくれる人に対して、よろこぶ前に、警戒しなさい、というメッセージがあふれています。だから、あなたのまっすぐなお誘いが、それぞれの人に届くまでには、時間がかかることもあるのは、残念ながら確かです。

でもあきらめないでください。あなたのお誘いを待っている、もう一人のあなたが、たくさんいるはずですから。(遊歩)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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