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第9回 たくさんの人に、育ててもらって

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像
今、妻は妊娠6カ月です。私は妻と結婚して、共に幸せを感じて生きています。私の育った家庭は、機能不全家族でした。妻も、幼少期から親の愛情不足を感じていたそうです。私も妻も、その幼少期の体験を引きずっていて、今も生きづらさを感じることがあります。私たちに生まれてくる赤ちゃんには、自分たちと同じ思いはさせたくありません。親の愛情が正しく子どもに伝わる家庭を作るために、気をつけなければいけないことや、助言をいただければ幸いです。(アキヲ・38歳・ 無職)

たくさんの人に、育ててもらって

それだけご自身のことをきちんと見つめていらっしゃることは、すばらしいと思います。私も、自分がいやだと感じたことは、ぜったい娘にはしない、と固く心に誓って娘を産みました。

私は子どものころ、医療のすさまじい介入でたいへん苦しみました。ですから、娘は十数回も骨折しましたが、ほとんど医者には連れて行っていません。骨折してもギプスをまかずに、本人の力で回復しました。

学校がいやだと言えば、学校をやめることも応援しました。

ご自身の子ども時代に、いやだったことをよく知っているお二人であれば、豊かな愛情をお子さんに注ぐことは、必ずできます。

子どものときにいやだったことはしない、あるいは、子どものときにしてほしかったことをする、という意識で子育てを始めることは、非常に大切なことだと思います。

なぜなら子ども時代の視点は、とても賢いからです。

ただほとんどの人が、成長過程で世間の常識にとらわれてしまいます。子ども時代の感性で変だなと思ったとき、その違和感を口にしたとたん、社会から、沈黙を強いる圧力がかけられます。子ども時代の自由な感性は否定され、自分の感性をどんどん信じられなくさせられてしまうのです。

ただひとつ、お願いがあります。お二人だけで、子育てをがんばることは、なさいませんように。

子どもの育ちには、大勢の人が必要です。

子どもは、きわめて社会的な存在です。にもかかわらず、子育ては親に任せるもの、という今の日本社会では、親も子どもも、追いつめられます。親にも、助けが必要なのです。

子どもが、のびのびと生きる作物だとしたら、空気と水と、太陽と大地が必要です。両親が太陽と大地のように、絶対的な存在として子どもを支えるのなら、その他大勢の人は、空気や水のように、子どものまわりに存在する必要があるのです。

たくさんの人の中で、お子さんが育っていけるように、助けを求め続けてください。そして、お二人も、ほかの子どもたちの育ちにとって、空気のように、水のように、なくてはならない存在として、かかわり続けてください。(遊歩)

 

まず、今ご夫婦で幸せにお暮らしとのこと、うれしく思います。幼少期のつらかった体験を自覚されていることは、子育てするにあたって、本当に大切なことだと思います。

私のまわりには両親のほかに、たくさんの大人がいて、それぞれが私を育ててくれました。みんな、自分が子どもだったときにいやだったことは、私にしないようにしてくれました。

ただ、どんなに子どもが大好きでも、ずっと一緒にいるのがつらくなることも、あると思います。それには、自分の幼少期に満たされなかった思いを思い出したり、子どもの自由さを見てうらやましくなってしまったりと、さまざまな理由があることでしょう。本当は、その子に怒っているわけではないのに、きついことを言ってしまったり。そんなとき、まわりに人がいたら、「それはあなたの気持ちでしょう?」と、子どもに感情をぶつけないように、支えてくれると思います。

私はたくさんの人が出入りする家に育ったおかげで、親との絆は、むしろ深くなったと感じています。

ときに子どもが、「お母さんやお父さんより、○○くんのほうが好き!」などと言っても、本当に安心しているからこそ言える言葉なのだと、黙って聞いてあげてください。私は生まれた瞬間から反抗期、と言われるほど、母にはよく反抗していましたが、それは、安心できていたからです。でも、その反抗を、親だけで受け止めるのはたいへんなので、まわりの人からたくさんのサポートを受けられると、いいと思います。

まわりの人と言われても、みんな忙しかったり、人にサポートを頼むのは、むずかしいと思われるかもしれません。まずは、安心できる仲のいいご友人に遊びに来てもらったり、一緒に遊びに出かけたりするのはどうでしょうか。

子どもがいるから遊びに出かけられない、というのではなく、子ども中心に、行く場所や過ごし方を変えてみて、友人も誘って出かけてみれば、新たな楽しみがあると思います。子どもとかかわった時間は、どんな人にとっても財産になります。

子どもがどんなに泣きやまなくても、「一人にして!」とか「だいっきらい!」と言われても、大人も安心して、そばにいてあげてください。

子どもがスッキリするまで、泣いて叫んだあとは、よりいい親子の関係が待っていると思います。無理せず我慢せず、たくさん一緒に笑って泣いて、素敵な家族を築けますよう応援しています!(宇宙)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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