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第5回 あなたの夢を、家族で分かち合って

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

次の春、専門学校を卒業したら、東京の有名美容院で働きたいと思っています。しかし母の具合が悪く、地元に残ってほしいと言われています。母とは仲がよく、何でも話せる関係ですが、東京に行きたいと思っていること打ち明けられません。会社員の父は、私が中学に入ってからずっと単身赴任です。私が東京に行くと、母は一人暮らしになります。父も母の具合は心配しながら、家計を考えると仕事を辞めることはできません。母のそばにいてあげたい気持ちと、東京で働いてみたい気持ちの間で、迷っています。どうすればよいでしょうか。(シナモンドーナツ・19歳・専門学校生)

あなたの夢を、家族で分かち合って

ほんとうにご心配ですね。お母さまと仲がよいからこそ、言えないお気持ちも、よくわかります。お母さまも、あなたのことが大好きでしょうから、体調がよくなくても、あなたの人生を応援したいと思っていることは、確かです。そのことがわかるからこそ、また、あなたの悩みも深まるのだろうと思います。

お母さまも、あなたと同じ年代のときに、同じような悩みを抱えていたかもしれません。そんな話を聞いたことは、ありますか。

また、お父さまのお仕事上、お母さまがひとり暮らしになることを心配されているようですが、家族というのは、だれかが新しい旅立ちをすれば、その人が旅立つというだけではなく、家族みんなの関係性も、少しずつ変わっていくものです。

勇気のいることとは思いますが、あなたが希望する将来や、あなたの夢について、率直に、お父さんとお母さんと分かち合ってみられるのが、いちばんかと思います。

ときどき帰ってくることもむずかしいような距離なら、その夢は数年後にしてほしいとか、お母さまも具合が悪ければ、正直におっしゃるかもしれません。

あるいは、お父さまが、単身赴任先に、お母さんも一緒に来ないかと誘うこともあるかもしれません。あなたが独立することで、家計を支えなければというお父さんのプレッシャーも少なくなります。収入が減ってもお母さんと暮らそう、となることも、考えられないことではないでしょう。

いずれにしろ、あなたに夢や希望があるように、お母さんにとっても、あなたがいなくなった後の生活が、ただただ寂しくてつらいというだけでなく、あなたの夢や将来を応援している、という充実感も、あるはずです。

人間は、有機的なつながりと、互いに対する正直さと思いやりのなかで、ベストな選択をしていくものだと、わたしは信じています。あなたがすでにお母さんに対する思いやりで、一生懸命悩んでいることは、ほんとうにすてきなことです。

そこにプラスして、自分の夢に対する正直さをお母さんと分かち合えれば、短期的には、お母さんも寂しいという気持ちを伝えてくるかもしれませんが、長期的には、どんな選択になるにしろ、よい関係が、さらに深まり、続いていくに違いありません。

さあ勇気を出して、お父さんとお母さんに、こんなにすてきな夢と希望をもてる、わたしになったよ、と伝えてください。(遊歩)

それぞれが、自分の人生を生きられますように

私は幼い頃から、母が高齢出産だったこともあり、一緒にいられる時間は短いと感じてきました。

そして、私は来春からニュージーランドの大学に行くので、これから母と一緒に過ごせる時間は、もしかしたら本当に数えられるくらいなのかもしれない、と思うことがあります。それはとっても、怖い考えです。

でも、どんな人も、寿命で言えば、子どもの方が親より長く生きるものです。そして、当たり前のことですが、どちらかがこの世界からいなくなってしまったとしても、残った人の命は続きます。だからこそ私は、少しでも長く一緒にいたいというより、少しでも早く、自分で生きていけるようになりたいと思ってきました。でも、実際に来年からニュージーランドに行くと決めたら、一緒に過ごしたいという思いがわいて出てきて、今は日本に帰ってきています。

今夏、母の家で3週間ほど一緒に過ごして、改めて気づいたことがあります。母は、私がいなくても、彼女の世界を作って生きていくのだ、ということです。それはとても、よい気づきでした。

だから、自分の人生を大切にしてほしいです。距離が離れても、親子が親子であるという事実は変わりません。私の母も、私に「寂しい」とか「一緒に住みたい」と言ってくることがあります。それで、私の心が揺らぐことがあります。母の体調がよくない時もあります。

でも私たちは、親子であっても、別の人であるから、それぞれの人生がある。お互いの人生を尊重して、お互いの力を信じて生きていこうとしています。私の中で、お互いの力を信じるということは、それぞれに助けが必要な時に、それぞれが、周りの人に助けを求める力がある、ということを信じるということです。

質問者さんが自分の人生を生き、また、お母さまが自分の人生を生きることができますよう、応援しています。(宇宙)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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