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第4回 人間は本来、助け合いたい存在です

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遊歩と宇宙の「自分がきらい」から「自分がすき」になる相談室画像

中3の息子と2人暮らしのシングルマザーです。息子は中2の夏から「学校行かない宣言」をして、現在フリースクールに通っています。毎日マイペースながら楽しく暮らしておりますが、高校進学を希望しており、今後の教育費のことが心配です。就学援助などの福祉資源を使わせてもらおうと思っていますが、それでもまかないきれない分は、自分と元夫の実家、双方に助けてもらおうと考えています。残念ながら元夫からの援助は期待できません。

私からも援助をお願いするつもりですが、息子からもおじいちゃん、おばあちゃんにお手紙を書いたらよいかなと思っています。しかし、ある年配の方にこのことを言ったところ、「子どもにお願いさせるなんて信じられない、それは親がすること」と言われてしまいました。

息子から、祖父母への学資援助をお願いすることに、問題があるのでしょうか。(ゼロ君ママ・43歳・ヘルパー、管理栄養士)

人間は本来、助け合いたい存在です

シングルマザーとなることを決断し、実行し、夫に対する養育費の請求も期待できないという冷静なまなざしをおもちのこと、とても行動力があり、すてきな母親である方とお見受けします。ですから、年配の方の言うことはあくまでも、参考意見でしかないということを、よくご存じであると思います。

息子さんと、祖父母の関係性をつくり、見守ってきたのはご自身であって、その関係性についてどのように考えていらっしゃるのか、息子さんと十分に相談してください。そしてもし必要なら、相談者さんから口添えをするのも、もちろんよいと思います。人に助けを求めることが、どんなにだいじなことかを、親として子どもに伝えることは、正しいことです。

いまのこの世界は、人に迷惑をかけないようにとか、子どもの教育は全部親がみるべきという、かたくなな経済システムをベースに、できています。それを常識とした価値観に、柔軟性を取り戻すのは、容易ではありません。とくに、経済的なことには、たくさんの過ちと、学びが凝縮しています。

親が全部面倒をみるべきとされ、しかし、それは現実的には無理な場合が多く、現在、大学生に対する奨学金という名の借金問題が非常に深刻であることを、ご存じでしょうか。これは大学の話ですが、1970年代初めの国立大学の学費と、今の学費は、約44倍のひらきがあるそうです。この異様な格差を若い人にだけ背負わせるシステムを、なんとかしたいと、親も、祖父母も、思っているに違いないと思うのです。ただ残念ながら、家族内でも、お金について、ざっくばらんに話すことは、タブー視されている場合が多いのではないでしょうか。

しかし若い人は、ほんとうに賢いものです。借金を背負わされるような未来より、お金を媒介にしながら、おじいちゃんやおばあちゃんとよい関係を深める力をもっています。さらに言えば息子さんは、不登校をして、この画一化された競争至上主義のような教育から、自由になろうとしたに違いありません。その競争至上主義の真逆のベクトルは、助け合う関係ですから、息子さんにもそうした話を積み重ね、身近な人と助け合う関係を十分に築いていってください。

人間は、本来助け合いたい存在であるという観点と希望に立って、息子さんと、よくよく話し合ってみられるのが先決でしょう。(遊歩)

子どもにとってもモチベーションが高まります

子どもから祖父母に自分の学費のことをお願いするのは良くないという考え方に、私は賛成しません。なぜなら、学校に行って勉強するのは、子ども自身であるから、勉強するために必要になってくるお金に、自分も関わるということはとても大切だと思うからです。

お金のことを考えるのは子どもの役割じゃない、子どものうちはお金の話から遠ざけた方がいい、という考え方もありますが、いつか学ばなければいけないことだから、早いうちに学ぶのはいい、と私は思います。実際、私は小さい頃から両親の収入や、自分たちの生活費を知っていました。知っているからこそ、自分の生活にもっと自覚を持てるようになりますし、自分が学費のやりくりに関わったら、学校に対しての思いも、変わってくるかもしれません。私はニュージーランドの高校に行き、学費は安くはなかったので、それを意識することも、ある意味でモチベーションの一つになっていました。

なにより、おじいちゃんもおばあちゃんも、親から頼まれるより、孫から直接頼まれた方が、心を動かされるのではないでしょうか。

でもまずは、息子さんがその高校に行くことを心から望んで、行くための資金を自分で頼もうって自発的に考えるのが大切なのではないかなと思います。

息子さんが自分からおじいちゃんとおばあちゃんに手紙を書こうと思えるよう、願っています。(宇宙)

安積遊歩(あさか・ゆうほ)
1956年福島県福島市生まれ。生後40日目で骨形成不全症と診断される。22歳で親元から自立。 1983年から半年間、アメリカのバークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介。 障がいをもつ人の自立をサポートする。2011年まで、再評価カウンセリングの日本地域照会者。 1996年に40歳で愛娘・宇宙を出産。優生思想の撤廃や、子育て、障害を持つ人の自立生活運動など、様々な分野で当事者として、からだに優しい生活のあり方を求める発言を続ける。 著書に『癒しのセクシー・トリップ』『車イスからの宣戦布告』、共著に『女に選ばれる男たち』など。

安積宇宙(あさか・うみ)
1996年東京都生まれ。安積遊歩の娘。母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱く車いすを使って生活している。 小学校2年生から学校に行かないことを決め、父が運営していたフリースクールに通う。ニュージーランドのオタゴ大学在学中。

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