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第11回 誰とでも寝ていいの?

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おばあちゃんの時代

この時代に生きる若い娘であるあなたは、もう、「男と女の間のこと」とか、「赤ちゃんがどうやったらできるのか」とか、まあ、そういうことはもう、なんとなくご存知ですよね。

そういうことをなんとなくしか知らないのは、あなたが若い娘だから、というだけではない。若かろうが結構な年齢を重ねていようが、たくさん経験していようが、経験していまいが、似たようなもので、この人間の性と生殖の根幹に関わる男と女の性関係、というのは、実に奥が深いので、何もかもわかっている人なんて、いないんですね。みんな、よくわからないのです。よくわからないけれど、でも、確かなことはあって、それは長い長い人間の歴史の中で、いつも変わらず、人生において起こる「最も素敵なこと」の一つであり続けている、ということです。

最も素敵なことだったら、できるようになったら、どんどんやったらいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが、今回は、いやあ、そうは言ってもですね、できるようになったらどんどん誰とでもやればいい、というものでは、ないんですよ、というお話です。

ひと昔前、つまりは2016年現在ティーンエイジャー(今さらですけど、10代の人のこと)のおばあちゃんよりちょっと前の世代くらいまで、女の子たちは「誰とでも寝てはいけない」と、それは厳しく言われていました。「嫁入り前に男と関係するなどもってのほか」と思われていましたし、とにかく、娘がそんなことにならないように、家族は若い娘を守ろうとしたものです。

娘たちも、誰とでも恋愛していいとか、誰とでも寝ていいとか、ちっとも思っていませんでした。思っていなければそういうことは起こらないのかというと、それはまた違いまして、おばあちゃんの時代にも、ひいおばあちゃんの時代にも、恋して駆け落ちしたり、道ならぬ恋をして子どもができちゃったりした話も実は、けっこう、ありました。ありましたけど、それはよろしくないこと、とされていた時代が長かったわけで、結婚前の若い娘が誰とでも寝てもいい、とか、そんなふうには少なくとも思われていなかったようです。

フリーセックスの時代

それが変わり始めたのは、1960年から70年代の頃でした。第二次世界大戦後に生まれた、いま60代後半の「団塊の世代」と呼ばれる人たちが大人になった頃のことです。

あなたにとってはおじいちゃんおばあちゃんの世代も、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんの世代も、明治も大正も昭和もどれも似たような「昔」のことかもしれませんが、世の中って、この数世代でずいぶん変わったんですよ。そんな現代の歴史を学んでいくと、さらにいろいろな発見があると思います。現代史、ぜひ勉強してみてください。

で、この「団塊の世代」の皆さんが青春時代を迎えるころから、この、「結婚前に娘が男と関係をもつなんてもってのほか」というそれまで結構重要であった考え方が変わり始めたわけです。

今も人気のあるビートルズとかローリングストーンズ、名前くらいは聞いたことがあるでしょうか。こういうロック音楽が出てき始めて、ジーパンを履いて、世界中で自由を求め始めた時代でした。「フリーセックス」、つまりは「結婚していない相手ともセックスしてもいい」というような考え方が出てきたのも、このころでした。実際に、日本でも大学生や若者のなかには結婚せずに同棲する人が出てきました。

ラッキーなことに、長く、怖いと言われていた梅毒や淋病といったセックスでうつる性病にかかっても、治る薬が出てきたし、現在も解決方法を模索している病気、エイズがみつかるのは80年代以降ですから、怖い病気もなかったので、なんとなく時代の空気は「フリーセックス」だったのです。

今となってはちょっと考えられないような、幸せそうな自由な時代です。そして、いったん手にした自由を人間はあまり手放したがりません。その時代以降、娘たちが「何が何でも結婚するまで男と関係してはいけない」と思うような親は減ってきたと思います。自分たちが勝手なことをしていたので、娘たちに厳しいことも言えないのです。

その「雰囲気」は今も続いていて、あなたのお姉さんやお兄さんたちにも「結婚する前から一緒に住んでいて、それから結婚した」人もいるのではないですか。世の中の雰囲気は、「結婚前にセックスすること」にずいぶんと寛容になりました。むしろ「そういうことは個人的なことだから他人が口出しすべきじゃない」というのがおおよその考え方で、親たちも、子どもたちにあまり厳しいことは言わなくなってきたのです。

金色のヘビを飼う

ちょっと難しい、歴史的前置きはここまでです。

さて、あなたは、こういう時代だから、誰とでも機会があればセックスしてもよいのでしょうか。もちろん、まだ学校に行かなければならないし、あんまり早く子どもができてもたいへんだから、できないようにしなければならないけれど、では、子どもができないようにすればよいのでしょうか。最初の話に戻るけど、人生で最も素敵な出来事の一つであるセックス。早くしたほうがいいのでしょうか。

「女の人は、セックスした男の人の数だけ、おなかの中に金色のヘビのようなものを飼うことになる」というお話があります。メキシコの呪術師の話、と言われています。

そのヘビのようなものを通して、女の人は関係を持った男の人に、ずっとエネルギーを与え続ける。そして、7年くらいはそのヘビのようなものはしっかり生きていて、女性のエネルギーを奪い続けるのだ、と言います。

えー、そんなこと迷信でしょ、だいたい、呪術師の話でしょ、科学的な話じゃないのに、と言われそうです。はい、その通りです。本当かどうかなんて誰もわかりません。呪術師の話だから、「おとぎ話」みたいなものです。でも、周囲の女性の話を聞いても、自分の人生を振り返っても、これは、実に当たっているなあ、と思うのです。

女の人は、いったん一緒に寝た男の人のことをそう簡単に忘れられません。短い間の関係でも、たった一夜の関係でも、その人のことをなかったことにはできません。関係性がどのようになろうと、ずっと気になります。ずっと気になる、ということは「エネルギーを与え続ける」ことかもしれない。たくさんの人にエネルギーを与え続けると、誰でも疲れ切ってしまいますよね。体がなんとか大丈夫であっても、魂が傷つく。

だからこそ、不特定の人に体を売る、「売春」は、女性にとって最もきつい、女性をおとしめるような仕事なのです。その昔、女性たちが体を売らなければ生きていけないようなところは「苦界」と呼ばれていました。そして女性の人権を守るために、「体を売る」ことは禁止されるようになっていったのです。

最もすばらしい経験だからこそ、あなたが、何年にもわたってこの人にならエネルギーを与え続けてもいい、と思えるような、特別な人とだけ、セックスしてほしい。

あなたの体は、あなた自身のもの。あなたが心から愛する人と、そのよろこびを分かち合うもの。あなたの人生に訪れる、最も素敵な経験を、ぜひ、あなたにとって特別な人のために大切にとっておいてもらいたい。

今の時代、誰もあんまりはっきり言わなくなりましたけれど、金色のヘビのことを思うと、若い世代には、やっぱり体を大切にしてね、と言いたくなります。はい、再度、金色のヘビは、単なるお話なんですけれども。

 

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