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第3回 生理のお手当て

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少女のための性の話_三砂ちづる_ヘッダー画像

便利な生理用品

毎月やってくる生理。どんなふうにすごしていますか。

ほとんどの人は、「生理用ナプキン」をおかあさんや家族に買ってもらって使っていると思います。なかなか便利なものですよね。羽根がついていたりして、薄くてももれない工夫がほどこされていて、かさかさいったりしなくて、ポケットにも入りやすい。とってもいいものが製品化されています。日本の「生理用品」の品質は、世界最高レベルだと思います。ほんとうによいものができていますし、生理用品を作っている人たちは、女性たちがより快適に過ごせるように、日夜努力を続けておられるのです。

「会社」っていうのは、自分たちが売っている「もの」や「サービス」が、買ってくれる人の役に立つように、すごくがんばって工夫をします。「もの」や「サービス」をたくさん売ることにより会社は利益を伸ばし、経済が成長していきます。そして、人々の暮らしは豊かになっていきます。そのような社会のことを、「資本主義社会」というのです。それが、現代の社会の仕組みです。

それってどんなものかなあ、とか、いまの社会になる前はどうだったのかなあ、とか、いまの日本みたいじゃない仕組みってあるのかなあ、とか、ふと思ったあなた。その問いを理解するために、学校で、社会とか、政治経済とか、歴史とかを学ぶのです。そういう社会の、世の中の仕組みに興味がある人は、ぜひ、いろいろ勉強してみて下さい。

学校が好きな人も嫌いな人もいると思うけれど、学校というのは、人間が長い時間をかけて、作り上げてきたものです。若い人に、なんとか、この世の中の今までの成り立ちについて、良き形でつたえたい、と先の世代がつくったものなのです。あなたがこの学校というシステムで、学ぶことを楽しんでくれているといいんだけど。

昔の人はどうしていたの?

さて便利な生理用ナプキンは、はい、あなたたちの暮らす、この資本主義社会の根本を支えている「会社」の人たちの努力によって作られ、広がりました。

ところで、こんなふうに考えたことがある人も、いるのではないでしょうか。「昔の人たちはどうしていたのかなあ」、「こんな便利な生理用ナプキンがなかったころは、みんなどうしていたのかしら」と。

そうですよね。人類の歴史が始まった一番最初から、今のような生理用ナプキンがあったはずはない。だとしたら、どうしていたのでしょうね。

わたしも、この疑問を、あなたたちと同じくらいのときから抱えていました。これ、便利だけど、こんなもの昔からあったはずないじゃない、って……。

若い頃に抱えた疑問の多くは、忘れられてしまうものなのですが、そういう若い頃にたてた問いが忘れられずに、一生追求してしまおう、と決めた人、そのようなことを仕事にした人を、「研究者」、といいます。だいたい大学とか研究所とかで働くことが多いのですが、別に大学や研究所にいなくても、自分でたてた問いを、別の仕事をしながら、生涯問い続けていく人もいます。それって、すばらしい人生の過ごし方ですよ。あなたもぜひ、若いうちにたくさんの問いに出合って下さい。問いを抱えて生きていく、というのはなかなかよい生き方なのです。

月経血コントロール

「便利な生理用品がないときの女性たちは、生理のたびにどうしていたのか」。

いつも、わたしの頭の片隅にあった問いでした。おとなになって、研究者になってから調べてみたのです。昔の女性たち、生理用品、脱脂綿ですら贅沢品だったころの女性たちは、どうやら「月経の血」も、おしっことかうんちみたいにトイレでちゃんと出していたらしい。「トイレでちゃんと出す」というのは、いったいどういうことかというと、「何となく月経血が出そうになる、とか出てきた、というのがわかったときにあわててトイレに行って出す」ということで、これをわたしは「月経血コントロール」と呼んでみました。

「おしっこやうんちみたいにトイレで出せる」というと、「ある日、ぴたっと月経血が止められて、さっとトイレで出せる」などというドラマティックなことを想像する人もおられるようですが、これは、そういうことではありません。トイレで出す、というと、どうしても、おしっこするときのイメージが強いため、それと似たようなことができるんじゃないか、と思われるようですが、ちょっとちがいます。わかりやすくいうと「トイレに行ったときに、うんちのときのようにすこしおなかに力をいれて、できるだけ、出てくる月経血は出しておこうとする」ということです。まずは、そういうことなのです。トイレで出そう、と、意識してみる。

「月経血コントロール」ということができるらしい、ときいて、わたしの周囲の女性たちは、まずトイレに行ったときに、なるべく腹圧をかけて(おなかの下のほうに力を入れて)月経血を出す、ということを試みました。

和式トイレのほうが、腹圧をかけやすいようですが、もちろん洋式でも大丈夫。量が多い日などは、便器の中がけっこう真っ赤になるくらい出たりします。ちょっぴりしか出ないときもあります。

トイレに行ったときになるべく出すように、と心がけていると、ナプキンが汚れにくくなります。そんなふうにしていると、自分自身で「月経血が出る」ということが意識できるようになる。意識できると、不思議で、トライした多くの女性たちは、「夜も、以前は大きなナプキンをつけていたのに、それがいらなくなった。朝起きてからトイレで出せばよい、というかんじになった」と、言っています。

生理のとき、授業中などで椅子に座っていて、突然立ち上がったときに、あ、いま、出たな、と感じることがあるでしょう。その感じがわかる、ということは、わたしたちは意識すれば、「ちょっと出そう」とか、「いま、出るかもしれない」とか、そういうことがわかるのです。

まず、意識してみる

たとえば、今、生きておられれば100歳以上の女性たちが若い頃は、まだ、みんな、洋服は着ていなくて、きもので暮らしていました。きものを日常着としていた頃は、下着の「パンツ」ははいていなくて、「腰巻き」だけでした。だから、「ちょっと出そう」となると、あわててトイレに行っていたようです。料亭などたくさんの女性が働くところでは、いつもトイレが混んでいた、とききます。おしっこじゃなくて、生理、でトイレが混んでいた、というのです。「ちょっと、このお膳をもっておいて」と仲間に頼んでトイレに駆け込んでいた、とききました。「出そう」というのがわかれば、「出しに行く」ということなのです。

意識、というのは大切なものです。意識するだけでできることが、あるのです。わたしたちは股にぴったりしたパンティをはいて、生理のときはそこにナプキンをくっつけているから、「お股」は意識できなくなっています。「月経血コントロール」は、おしっこのように「いつもはぴたっととめて、トイレに行ったらさっと出す」こととは、ちょっと違います。「月経血が出そう」ということを意識できるようになって、その感覚がわかったときにはトイレに行こう、わからないときにもトイレでだしてみよう、ということを、やってみることです。

もちろん失敗すると困るから、いつものようにナプキンをつけていたらいい。ただ、「月経血コントロール」に慣れてくると、多くの方がナプキンの量が減ったり、布ナプキンに替えたりするようになります。だって「あんなにたくさんいらないから」という感じになるのです。「布ナプキン」について初めてきいた、という方もあるかもしれませんから、そのことはまた書きます。次の生理、ちょっと意識してみて下さいね。

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