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『わかな十五歳』出版秘話

10年前、福島の中学3年生だったわかなさんが、あの日をふりかえって書きおろした『わかな十五歳 中学生の瞳に映った3・11』(3/11発売)。
この本が生まれたきっかけは、北海道の二つの小さな町村が、核のごみを埋める場所の調査に応募する、と名乗りを上げたことでした。

「トイレのないマンション」という言葉を聞いたことがありますか?

核のごみの最終処分法を決めないまま、原発を作り、稼働させてきた日本の原子力政策の弱点を解説するとき、よく使われるたとえです。
そのトイレ(あくまで比喩です)をどこに作るか? という場所探しが実は全国津々浦々で地味〜に進行中でした。

そして昨年、2020年の夏、北海道の二つの小さな町村が、核ごみ捨て場の調査に手を挙げたのです。
(参照サイト:「核のごみ最終処分場 寿都町が調査応募検討」北海道新聞、2020/08/13

名乗り出た寿都町(すっつちょう)と、神恵内村(かもえないむら)は、どちらも日本海に面する自然の美しいところ。(上の記事に空撮動画もあります)
おいしいカキやウニ、アワビもとれる。

そんなところに核のごみを埋めることになるかもしれない、ということで突如、小さな町と村に注目が集まりました。
文献調査を行う自治体には、最大20億円(2年間で)の交付金が国から支給されることになっています。

311の原発事故を受けて、遠くへ避難した人々が全国各地にいます。
東北の短大を卒業後、一人で北海道に移住したわかなさんも、その一人でした。

核のごみ問題でゆれる自治体の人びとに、福島で起きてしまった原発事故を10代で体験した、この気持ちを、伝えたい。
ということで昨秋書きおろされた当初、A4版で12頁の冊子だった手記が、本書の元になりました。

核のごみ、つまり原発から出る廃棄物の中でもっとも危険とされる高レベル放射性廃棄物は何万年(!)もの長期にわたって厳重な管理が必要です。
地震の多い日本では、埋めるべきではないという研究者の意見もあります(注)。

私たちの生活に欠かせない電気と、核のごみ問題がつながっているということ。
原発事故から10年たち、復興どころではない人々がまだまだたくさんいるということ。

わかなさんの本を読みながら、考えつづけたい大事な問題です。

注)「科学的特性マップ」を考える会『「高レベル放射性廃棄物」はふやさない、埋めないー「科学的特性マップ」の問題点』(地学団体研究会、2019)

わかな十五歳 中学生の瞳に映った3・11 特設ページ

 

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