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『ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+』刊行によせて〜著者&訳者からのメッセージ

■ソフィア・ヤンベリさんからのメッセージ

 文章を書くことや、物語を書くことが好きな私にとって、今回発売される『ぼくが小さなプライドパレード 北欧スウェーデンの LGBT+』は記念すべき初出版の本です。今回この本を書くにあたっては、私の想いと共に文をしたためていきました。もちろんこの本に書かれていることはすべて、今取材に応じてくださった、実際にいる人々の実際のストーリーによるものです。
 私自身もバイセクシュアルな人間として、LGBT+という言葉の意味はよく理解していますが、今回の執筆活動を通して、スウェーデンにおけるトランスジェンダーの人々の生き方とは? 同性カップルの人たちにとって子どもをもち、育てることとは? スウェーデン国内では過去、ゲイの人たちはどのように育ち、生きてきたのか? といった、バイセクシュアル以外のLGBT+コミュニティの人々のアイデンティティについても、想いをめぐらせることができました。
 スウェーデンはLGBT+に対して理解があり、またフレンドリーな国として知られています。それゆえにこの本を執筆するだけの十分なエピソードに恵まれました。もちろん、読んでいただいて他の多くの国の事情と比べていただき、それぞれの国のLGBT+のあり方についてお考えいただければうれしい限りですし、そうであってほしいと願っています。
 私たちLGBT+がありのままで生き、それが受け容れられる……この本を通して伝えたいメッセージが、日本の読者のみなさんに伝わりますように。

著者のソフィアさん路上にて撮影
ソフィア・ヤンベリ 
1993年ストックホルム生まれ。ストックホルム大学日本研究学科在学中の2013年に初来日。南山大学に留学後、帰国してストックホルム大学を卒業。2016~17年上智大学に留学。2018年~19年スウェーデン交流センター(北海道当別町)に勤務。現在、スウェー
デンの旅行会社勤務。

■訳者・轡田いずみさんからのメッセージ

 「こんな社会のあり方があるんだ……!」
 留学や仕事を通してスウェーデンに比較的かかわりのある私ですが、驚きながら本を読み進めました。LGBT+という言葉が擁する多様なアイデンティティ、LGBT+の権利を守る法律に、幼稚園や高齢者住宅などの多様な場。スウェーデンでLGBT+として生きることをリアルに伝える当事者のインタビュー。とにかく1ページ1ページが濃い“体験”で、自分の中の価値観を揺さぶられた1冊でした。
 誰もがありのままで生きられる社会をめざして一人ひとりが行動する姿には、異なる社会を生きる私たちにとっても普遍的な示唆がたくさんつまっています。ページを読み進めるごとに、きっとやさしく背中を押してもらえるはずです。
(スウェーデン交流センター発行『ビョルク』第146号(2020年4月1日)より転載)

轡田 いずみ  (クツワダ イズミ
1984年生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業。大学在学中にスウェーデン・ウプサラ大学政治学部に留学。会社勤務を経て2015年に独立。現在、株式会社ノルディック・インスピレーション代表。「北欧の教育・学び リラ・トゥーレン」主宰

 

ぼくが小さなプライド・パレード 北欧スウェーデンのLGBT+

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